宝箱
□球磨川禊による実況ではない過去中継。嘘。
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や、僕だよ、球磨川禊だよ。
もうこのまま、めだかちゃんを人質にとって善吉ちゃんと交渉して、めだかちゃんをゲットだぜ!なんていう強硬手段に出てしまおうかなって、思ってるんだよね。まあ嘘だけど。
ごめん、僕、普段は約束破らないんだけどね?
2222のキリ番達成したのに、結局脱がなかったんだ。
それでめだかちゃん、ふて腐れてるの。
もちろん、頬を膨らまして。
「『めだかちゃん、そろそろ機嫌直せよ』」
「いやだ!」
「『はあー、どうすればいいんだ?』」
「脱げばいいと思う」
・・・おいおい、他の生徒会メンバーが、おかしなこといってるよ。全員。
「そうだぞ、球磨川。貴様が脱げば・・・、私の機嫌が直り、貴様も皆も幸せだ!」
「『いや、君がご機嫌ということに、僕とみんなに何のメリットがあるんだよ』」
「・・・ふんっ!」
「あーあー、球磨川!お前、機嫌直す気ないだろ!」
「『ないよ?だって、少しめだかちゃんに怒りが出てきているんだから』」
「怒り?」
本当、僕のことも考えて欲しいよね、全く。あと、善吉ちゃんも。
「『そうだよ。幼馴染の愛しの善吉ちゃんが、せっかく励ましてくれてるんだぜ?めだかちゃんらしくないよねぇ』」
「・・・む」
するとめだかちゃんがいきなり立ち上がり、僕に近づいてきた。
「貴様に説教をされるとは、私も中々堕ちたものだ」
「『・・・そりゃあどうも』」
「・・・褒めておらんぞ」
「『いや、めだかちゃんの僕に向ける言葉は、全部褒め言葉だから』」
「・・・・そうか」
「『うん♪』」
にっこり笑ってみせる。魅せる。
いや、僕の笑顔って、魅了できてるのかな?
一応、病んでる笑顔も出来るけど。
目の前のめだかちゃんは今、寧ろ僕に引いていると思う。さっきあんなこと言っちゃったしね。
「『じゃ、僕は帰るとするかな』」
「まてまてまて!」
すかさず、善吉ちゃんが止めに入る。
善吉ちゃんのこういう所、気に入ってるよ、物凄く。
「何さっさと退散しようとしてんだ!生徒会の仕事、まだあるぞ!」
「『善吉ちゃんって、つくづく真面目だねぇ』」
「あ?」
「『うん、頑張りすぎて体壊さないようにねえー』」
「あ、ああ・・・、って!!」
そのまま外に出ようとする僕。
成功するかなって思ったんだけど、そうもいかなかった。ああ、もう。
めだかちゃんに襟を掴まれ、引き戻される。
その勢いで、変な声が出た。
「『ぐへっ』」
「・・・・。何とまあ、まぬけな声を出すものだな、球磨川」
「『・・・ごめんね?』」
ちょっと不機嫌な顔で謝ったら、めだかちゃんは鋭い目で対抗してきた。
「サボりは許さんぞ」
「『・・・あは』」
「ごまかし笑いも駄目だ」
「『えー、許してよ、めだかちゃん」
「否認する。そうだな、どうしてもというなら・・・」
「『・・・っ!やっぱごめん!あは、僕、今朝から体調悪くてさー!・・・さよならっ!』」
「皆の・・倍の・・仕事、を・・・」
「アイツ・・・っ!今朝、俺に悪戯するぐらい余裕だったじゃねえか!」
「どうやら、めだかさんがまた、無理無茶な要求をすると思ったんでしょうね」
めだかちゃんに襲われかけるのは、もう勘弁っ!!
(おわり)