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□絶望遊戯3
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気持ちよく眠っていたのに、自分の携帯の着信音で目が覚めた。
電話は哲兄からで、すこぶるブルーな気分になって出ないでおこうかなと思ったけど出なかったら後からどうなるかわからないし、しぶしぶ通話ボタンを押すことに決めた。
「もしもし」
「今すぐ書庫に来い。5分以内に」
「はぁ…?」
…切れた。
まさに凶悪犯が脅しをかけるような口調だ。
要件だけだけど、相手を焦らせるような凄みがある。
書庫といえば、
自宅の4階の本とか、骨董品とかが保管されてる場所だ。
俺は哲兄の機嫌を損ねないよに走った。
書庫室の扉を開けると、哲兄がソファに座りながら携帯を弄っていた。
「来た来た。ちょっとお前に頼みがあるんだよね。ここの本さ、全部整理整頓してほしい。」
「一人で?」
「俺も手伝うよ。ちょっとは」
嘘だ。絶対俺に全部やらせるつもりだ。
「どうしたの?父さんに言いつけられでもした?」
「まぁね。髪染めたらブチ切れられてさ。ここの本整頓して反省しろって。関係ねーのによ」
確かに哲兄の頭の色は真っ赤で、これは父さんが怒るだろうと一瞬で思った。
端正な顔によく似合っているけれど、なにも真っ赤にしなくてもいいのに。
「あーあ、お前だって染めてんのに何で俺だけ怒られるんだろうな。」
「痛いっ」
本の分類に取り掛かろうと、背を向けた瞬間髪を引っ張られた。
俺の教育は母の杏里に任せると約束してあるので、父は俺のことを殆ど放任している。褒められもしなければ、怒られもしない。
「お前が出来て俺が出来ないことがあるとか、超ムカつく。お前黒染めしろよ」
「嫌だよ、俺誰にも怒られてないし、最近リタッチしたばっかだもん」
「俺様が怒ってんだよ、口答えすんな。明日までに黒くしろよ?」
「…………」
「返事」
「……………」
黙って本を作者別に分別していると、首に布が巻きついてきて、引っ張られ、軽く苦しくなった。
「躾しなおしだ。」
背後で哲兄の声が聞こえて、すぐに先ほどの自分の過ちを悔いた。
いくらムッとしたからって、賢い判断ではなかった。
哲兄の言葉を無視するなんて。
首にかかった布を引っ張られるままデスクに誘導され、その上に押し倒される。
逃げようとしたら、
本気で首を絞めてくると思う。
哲兄ならやりかねない。
「哲兄、ごめん、明日までに黒染めするからっ…」
「おっせーんだよ、ばぁか」
首に纏わりついていたいた布…よく見たらカーテンを縛る布、で一纏めにした手首を縛り付けられて、サッと血の気が引くのを感じた。
奴が俺を何らかで拘束するとき、
それは徹底的にいたぶる証だ。
そうなったら、俺が泣こうと喚こうとお構いなし。
「やだっ、哲兄やめて、謝るから!!!」
「駄目だ。二度と反抗的な態度をとれないように叩き込んでやる」
「いや!やだやだ、痛くしないで!!!」
「始める前からなにビビってんだよ。情けねーな」
これまでの事例を思いだしたら、この反応は普通だろう。
どうにかして逃げたいけど、すごいチカラで押さえつけられていて身動きがとれない。
ズボンのパンツを脱がされて、下半身が外気にさらされ身震いする。
「ならさないでいれちゃおっかな」
「駄目!哲兄ぃっ」
俺の制止も虚しく、ギリギリとねじ込むように挿入される哲兄のペニス。
俺は痛いやら苦しいやらで、半分も入りきれてない内にボロ泣き。
「ぅえ、痛っ、いよぉ…」
「くっ、力抜けよ、くそっ…俺もキツイ」
そっちもキツイならやめてしまえばいいのに。
「ちっ…、バックじゃねーとさすがにキツすぎるな…おい、お前これ飲んでみ」
「ぅう…なにこれ?」
「媚薬」
「何でそんなの持ってんの…」
「整頓終わった後、お前に使うつもりで持ってたんだよ。いいから早く」
それじゃあ俺、言いつけどおり本の整理整頓して、黒染めしたとしても、この男に犯される運命だったんだ。
ちくしょう。
仕方が無いので、口元に持ってこられた怪しげな薬を一気に飲み干す。
その間もずっと挿れっぱで、圧迫感が半端ではない。
何分もしないうちに薬がまわりはじめ、頭がぼーっとして身体が熱くなってきた。
「は、はぁ、はぁ…」
「効くのはえーなこれ。すげー…お前、ちんこ勃ってるぞ」
「!!!やめて、触らないでよ!あっ、ぁっやだ、あっ…!!!」
「ははっ、イきやがった。聖の早漏!だせぇ!」
「…………っ」
こいつ、本当に性格悪い。
弟虐めて何が楽しいんだよ。
全然理解出来ない。
「でもよかったな。お前の出したので多少は楽になるだろ。」
哲兄の指が、ツーっとなぞる様に俺のペニスから後孔に移る。
「痛っ、まだ、駄目ぇっ…!動かないで!」
哲兄が動く度に、お尻は血が出そうになるし、硬いデスクを背中にしているせいで背中も痛い。
「やだ…助けて…ぁう…」
「はっ、誰に向かっていってんだよ。」
ただでさえ呼吸が苦しいのに唇を塞がれる。
哲兄は俺の息の根を止めたいらしい。
そして、意識が朦朧とする俺を、哲兄はいつ盗ったのか、俺の携帯のカメラで撮りだした。相変わらず悪趣味だ。変態。
「いい事考えた。聖、喜べ、俺様が助けて呼んでやるぞ」
「はぁ…?」
「お前のアドレス帳の「家族」の欄からランダムで一人選ぶ。
そいつにお前の写真つきメール送ってやるよそしたら場所も特定できるし状況も把握できるだろ?」
!!!!こいつ頭おかしい!!!
間違いなく本物の外道だ
「待って!!!!いいから、誰も呼ばないで!!!お願い、何でもするからぁ」
「だ、れ、に、し、よ、う、か、な…ちなみに俺の名前で止まった場合全員に一斉送信な」
俺は今までで一番絶望、という二文字を重く感じた。
「おっ、送信先は智に決まりましたーおめでとー。はい、送信」
画面を見ると、
確かに送信中の文字が見える。
「うーん、聖、残念だけど、
智仕事中だならこれないかもしれないなぁ。かわいそうに。」
「嫌い…哲兄なんて大嫌い…っ」
消えたい。もう何もかもに嫌気がさした。
誰も知らないような場所で、誰にも気づかれる事なく静かに消えたい。
「…お、急に静かになったな。」
それからは、ただただなすがままに揺さぶられて終わりがくるのを待っていたので、記憶がひどく曖昧だ。