小説倉庫

□嫉妬
1ページ/3ページ

「あ、あぁん、もっとおくぅ」

「千晶っ、あぁっ…」

今、俺を抱いているこの男は恋人ではない。
いわゆるセフレだ。
俺には別に本命の彼氏がいるんだけど、事情があって、ここ最近毎晩セフレと夜を共にしている。





「……泊まってく?」

「…あー、いい。彼女に怪しまれるから帰る。」

「いいな。ヤキモチやいてくれるんだ。剛は幸せものだね。」

「まぁな。風呂借りていい?」

「ん。どうぞ。」


……はぁ。
今日も来なかった。

俺は彼氏ともう3週間くらい会ってない。

××町でホストをしてるんだけど、前は仕事帰りによく来てくれたっけ。

結局、遊びだったんだと思う。
本当酷いやつだ。
でもやられっぱなしじゃ悔しいので、
俺も浮気まがいなことを堂々としているのだが、
相手はどうやら俺のことなど興味ないらしい。
全く音沙汰無しだ。


あっちは町で一番有名なホスト、上等な女に貢がせる天才。

対するこっちはフリーター。ホモで、男から小遣い貰ってるようなダメ男。

最初から釣り合わないってわかってたけど、付き合ったからには責任をとって欲しい。
いっそ振ってくれればいいのに、
奴ときたらただただ放置だ。

「風呂ありがと。ほら、これで美味しいものでも食えよ。」

渡されたのは数枚のお札。
結構いいとこで働いてるから、
毎回いい額のお小遣いをくれる。

もちろん、俺が催促したわけではない。
剛は優しく俺の頭を撫でると、
部屋から出ていってしまった。

剛は優しい。
セフレの中で一番好きだ。

早く彼女と別れてくれないかな。

「あー、風呂はいるの面倒だなー。これで剛の赤ちゃん出来るならいいのに。」

中には剛が出した精子が入ってる。
いつもはコンドームしてやるんだけど、
今日は俺がお願いして生でしてもらった。

ふとベットの側のテーブルに目をやると、
見憶えのあるベルトが置かれていた。

「剛のベルトだー…ま、いっか、明日来てくれたらラッキーだし。置いとこ。」

身体が怠くて、
しばらくベットでじっとしていたら
ドアが開く音がした。

「剛?」

ベルト取りにきたのかな。

それなら残念だ。
流石にもう一日二回もエッチしてくれないだろうし。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ