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□嫉妬
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「あ、あぁん、もっとおくぅ」
「千晶っ、あぁっ…」
今、俺を抱いているこの男は恋人ではない。
いわゆるセフレだ。
俺には別に本命の彼氏がいるんだけど、事情があって、ここ最近毎晩セフレと夜を共にしている。
「……泊まってく?」
「…あー、いい。彼女に怪しまれるから帰る。」
「いいな。ヤキモチやいてくれるんだ。剛は幸せものだね。」
「まぁな。風呂借りていい?」
「ん。どうぞ。」
……はぁ。
今日も来なかった。
俺は彼氏ともう3週間くらい会ってない。
××町でホストをしてるんだけど、前は仕事帰りによく来てくれたっけ。
結局、遊びだったんだと思う。
本当酷いやつだ。
でもやられっぱなしじゃ悔しいので、
俺も浮気まがいなことを堂々としているのだが、
相手はどうやら俺のことなど興味ないらしい。
全く音沙汰無しだ。
あっちは町で一番有名なホスト、上等な女に貢がせる天才。
対するこっちはフリーター。ホモで、男から小遣い貰ってるようなダメ男。
最初から釣り合わないってわかってたけど、付き合ったからには責任をとって欲しい。
いっそ振ってくれればいいのに、
奴ときたらただただ放置だ。
「風呂ありがと。ほら、これで美味しいものでも食えよ。」
渡されたのは数枚のお札。
結構いいとこで働いてるから、
毎回いい額のお小遣いをくれる。
もちろん、俺が催促したわけではない。
剛は優しく俺の頭を撫でると、
部屋から出ていってしまった。
剛は優しい。
セフレの中で一番好きだ。
早く彼女と別れてくれないかな。
「あー、風呂はいるの面倒だなー。これで剛の赤ちゃん出来るならいいのに。」
中には剛が出した精子が入ってる。
いつもはコンドームしてやるんだけど、
今日は俺がお願いして生でしてもらった。
ふとベットの側のテーブルに目をやると、
見憶えのあるベルトが置かれていた。
「剛のベルトだー…ま、いっか、明日来てくれたらラッキーだし。置いとこ。」
身体が怠くて、
しばらくベットでじっとしていたら
ドアが開く音がした。
「剛?」
ベルト取りにきたのかな。
それなら残念だ。
流石にもう一日二回もエッチしてくれないだろうし。