凩の吹く刻

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あと数分。
時間を確認し、木枯旋風はそう思った。

軽く深呼吸をして、眼を閉じる。
頭の中で仕事内容を確認した。


今回の標的は60代後半の男性。
N社の会長職に就いている。
普段は入念な警備の入った自宅にいるが、今日は午後8時から開かれる会に呼ばれており、それに間に合うよう家を出る。

会場は入場者を逐一チェックしているため、警備状態は自宅とそう変わらない。
違和感なく入り込むのは困難な場所だ。


最も警備が薄くなるのは、移動中。
一度出掛ければ、男は車内で後部席に一人。当然建物と違い監視カメラはついていない。ボディガードも助手席だ。
狙うなら、その時が一番やりやすい。
そこを突いて、男を殺す。

標的の殺害。
それが今夜彼がする仕事の内容だった。



 
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