BG/Happinees

□影。
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通行人達は

俺の邪魔をする





「赳(だけし)くん、お昼に中央図書館行かない?」

「いいですよ。それにしても珍しいですね、要人。要人が図書館なんて。」

「ちょっと調べたい事があるんだよー」





そこをどけ。


だなんて、ゲスな俺。





「鷹ー、今度みんなで花見行こうぜー」

「…ああ…」

「…なんだよその乗り気じゃない返事…もしや赳と二人で…ぐほっ」

「悠樹。なにか?」

「くう〜…爽やかな笑顔で殴りやがって…」






お前以外なんて、正直誰も相手にしたくない。

なんて、引きこもりな俺。

















 
「…」






独り占めできない時間を

木の葉の屋根が揺れるベンチに寝転がってやり過ごす。





「…ふう」




心地いい風

心地いい影





あいつがここに、来ればいいのに

いつもここに、いればいいのに

見つけてくれたら、いいのに




「…あ、あの、魅影、先輩っ…」


「…ああ?」





目を開けると、共学部の制服を来た女子が立っていた。




「あの、…わたしっ…魅影先輩が…っ」




知ってる、空気。




「…。」




ベンチに座って、女子を見る。


どこにでもいるような

少し色気づいて、化粧してる女子だった。


高校生のくせに

化粧臭い女子だった。




相手にしたら、きっと多少の退屈しのぎになるだろう。


だけど、知ってる。




「好きです…っ」


「…、悪いけど、好きな人いるから。」



もっとメンドくさくなるって事。




「え…」

「…じゃ。」



ベンチから立ち上がって、女子に背を向けて歩く。



「…ま、待ってくださいっ、お友達、からっ…」

「…。」



空気読め。





「そういうの、イラナイから。」


「…っ」




汚い言葉なんて、言わせないでくれ。


気づいてくれ、そのくらい。





俺だって、人間だ。

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