Dream
□無垢な君と嗤う悪魔
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嗚呼、あの人間が欲しい。
悪魔の私に、このような感情があったのか。
末の弟の隣で笑顔を浮かべる一人の少女。
無垢で穢れを知らないその笑顔に、きっと私は惹かれたのだろう。
「この感情は何だ…?」
恋なのか、はたまた愛なのかわからない。
…もしもこれが欲故に彼女を欲しているのならば、私はそれに従おうではないか。
悪魔は欲に忠実なのだから。
「…叶わぬ恋など、するものではない」
哀れなる弟の隣で微笑む彼女の笑みは、誰の隣で見せるものではない。
幸せそうに想い合う者が見せる、心からの微笑み。
…さて、その幸せが壊れるのは遠くはない未来だ。
『…っ、り、ん…っ』
…嗚呼、美しい。
絶望に満ちた色は何故これ程に輝きを放つ。
悪魔に堕ちた哀れな少女よ。
私が今、貴女を掬って差し上げよう。
「初めてまして、苗字名前さん。私メフィスト・フェレスと申します」
足を下げて紳士に演じ、道化師のように惑わせて差し上げましょう。
「…奥村燐を、助けたいですか?」
悪魔が躍る、
愉しいお遊戯を。
それが恋だと気づかないメフィストだったり。
やっぱり切ないのが似合うなぁ…なんて。
2011/12/04