Dream


□臆病で、弱虫な僕
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本気になんて、なれる筈ない。

失った時の悲しみなんか、知りたくない。





『…廉造、別れよ』




目の前で笑みを浮かべながらそう告げる名前。




「え…いや、何で?」


『わからない?…私、もう辛いの。廉造が他の女の子に笑い掛ける度に、苦しくて、悲しくて…』




…ああ、そうか。
何も言わずに微笑んでいたのは、ただの強がりだったのか。





『だから、別れよ』


「……」




ごめんね、と寂しそうに謝る彼女の目には涙の膜が張っている。
ツキンツキンと痛む胸に、自嘲的な笑みが浮かんだ。





「ええよ」




…頼むから、そんな顔をしないで。
俺のせいで、笑顔が見れなくなるのは嫌なんだ。

そうじゃないと、今にも泣いてしまう。
男の涙程滑稽なもんは、ないやろ?





『…今まで、ありがとう、ね』


「おん。名前もな」




…ああ、どうか顔を上げないで。
こんな情けない顔、見られたくない。
俺は俺で居いひんと、あかんのやから。





『…っ、ばいばい』




絞り出した声に胸が痛い。
俺の前から走り去る彼女の姿は、儚かった。





「…はは、阿呆やな、俺」




…何が本気にならないだ。
傷つくのが嫌だから逃げていただけの弱虫な俺。

そんなの最初から、本気だったのに。





「堪忍な…」





もう見えなくなった彼女に、俺は好きだと呟いた。







最初で最後の愛の言葉。











初志摩夢。
…微妙?orz



2011/11/30

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