Dream
□そう言って彼女は嗤った
1ページ/1ページ
なんて、残酷なんだろう。
突き付けられた拳銃は、まるで私の命を握っているかのように意地悪く嗤う。
「…悪魔、だったんだね」
『……うん』
何でかな。
心地いいと感じていた彼の顔が、こんなにも冷たく聞こえるのは。
「…っ、名前…」
『いいよ。大丈夫だから』
だから、撃って。
純粋なあなたの心を踏み躙った私を、どうか赦さないで。
「僕は…」
その言葉の先は、聞きたくない。
聞いてしまったら、きっと私は泣いてしまうから。
『愛してたよ、雪男』
震える暖かい手に自分のそれを重ねて、引き金を引いた。
生々しい音に、視界の端に映るモノ。
…ああ、なんて黒ずんだ朱。それはまるで人の心を捨てきれなかった、私の心のようだ。
「名前…っ」
…自惚れても、いいのだろうか。
頬を流れるそれは、私の為に、流したモノだと。
どうか最後にひとつだけ、我が儘を言えるなら。
『私を、忘れないで』
悪魔の囁きを、
あなたに微笑んで。
死ねたです。悪魔ヒロイン
短いけど思い入れがあったり…
2011/11/05