Dream
□悪戯か、悪戯
1ページ/1ページ
『阿近さん、とりっくおあとりーと!』
「……」
バンと扉を開け放って声高らかにそう告げる名前の頭には黄色の被り物。
「…何やってんだ?」
『あれ阿近さん知らないんですか?今日ははろうぃんなんですよー』
「はろうぃん?」
片言にそう言う名前に問えば、どうやら今日は現世でいう行事の事らしい。
「お菓子か悪戯か」…か。…ふぅん。
「悪いが菓子はねぇぞ」
『え、じゃあ悪戯ですね!』
「ククッ、嬉しそうだなァ。…じゃあ、悪戯してみろよ」
『……は?』
ぽかんと口を開ける名前の頭に乗る変な被り物を取り払って投げ捨てる。
壁際に追いやりながら口づけてやれば、名前はようやく察したように顔を赤く染めた。
『あ、あああ阿近さん?あのやっぱりお菓子はいらないんで悪戯は…』
「してくれんじゃねーのか?俺は寧ろ大歓迎なんだがなァ」
『ひゃ、あ…』
ちうと目尻に口づけてぺろりと耳を舐めてやる。途端に目を細める名前に、ズクリと欲が疼いた。
クク…ハロウィンか、人間てのはなかなか面白ェモンを考えるんだな。
たまにはその習わしってのに嵌まるのも悪かねぇ。
「…トリックオアトリート。お菓子か悪戯か、お前はどっちがいい?」
耳元で囁いて、唇に深く口づける。熱くなった舌を絡めて息を漏らす名前に、俺は一人笑みを溢した。
さて、今夜は熱くなりそうだ。
(ハロウィンてのもなかなかイイじゃねーか)
(…よくない。はろうぃんなんて阿近さんに教えなきゃ良かった…!)
(あ?別にいいだろ。ま、来年は俺から言ってやるよ。…菓子はねぇがな)
((もはやはろうぃんじゃないんですけど!))
阿近さんだもの(^^)
2011/10/31