Dream


□Trick or Trick
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「Trick or treat」


『……は?』




立て続けの任務にくたくたになりながら家のドアを開けたら、黒いマントを着たメフィストがそう私に言い放った。




「ですから、Trick or treatと言ったんです」


『…ああ、そう言えば今日はハロウィンだったっけ』




ふぅ、とやけにニヤニヤする悪魔を無視して返り血だらけになった身体をタオルで拭う。





「……」


『…え、何その手』




無視された事に対して悲しかったのか、眉をハの字にして私に向かって手を差し出すメフィスト。…可愛いなおい。




「お菓子、ください」


『はあ?』




図々しくひらひらと手を振ってずいと私に近寄るこの男。




『ない…けど。昨日食べちゃったし』




やけ食いした事を思い出しながらそう言えば、メフィストはニヤリと笑って「そうですか」と低く言った。




「…では、イタズラですね」


『へ……ちょ、何してんの!』




くつくつと喉の奥で楽しそうに笑いながら私の首筋を撫でる指。




『め、メフィスト…ん、』


「貴女に拒否権は無いんですよ」




ツゥ…と肌を滑る指に力が抜けていく。
大きな身体に抱き締められて安心した途端、首筋に歯を立てられた。




『ひゃ、ぁ…!』




悪魔特有の鋭い歯が、肌を裂く。
びくびくと身体を震わせていれば、何かを吸う音とピリピリした痛み。




『んぁ、あ…メフィスト…』




チラリと視線を落とすと、血を吸っているメフィストが目に入る。ちゅう…と吸って、ぺろりと傷を舐めて。





「甘いな…」




低い声にどきんと跳ねる私の心臓。
むかついてた筈なのに、嫌じゃない自分が居るなんて。





「クク…そんな顔で誘わなくとも、じっくり構って差し上げますよ」




目の前で妖しく口角を上げるこの男に、私はとうの昔に惑わされていたのだと悟った。







お菓子あったらどうしたんだろうなんて、愚問かも。



(…ねえメフィスト、いつから家に居たの?)
(名前が帰って来る30分前には待機済みですよ)
(…暇なんだね)
(失礼な。私はこの特注マントで名前と吸血鬼プレイをする目論見の事前練習を……おや)
(おやじゃねえよ)











はぴハロウィーン(^^)
吸血鬼萌え!



2011/10/31

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