Dream
□似た者同士な二人
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『ね、ねぇ晋助っ!どこ行くの?』
「うるせェ」
始業の鐘はいつか鳴り止んでいた。今は確か銀八先生の国語の授業だったと思う。
どうやら私は無条件でサボリになってしまったようだ。
お昼休みが終わる5分前に晋助に呼び出されてからというもの、このやり取りももう何度目か…
つかつかと私の腕を握っていた晋助がやっと止まったのは、今は使われていない旧校舎で。適当な教室に入ったと思えば、突飛ばされるように晋助は私を中へと入れた。
『い…っ、ホントに何?晋す……んんっ!?』
抗議しようと晋助を睨み付けようとした瞬間、ドンと机に押し倒されて口を塞がれる。
『ふぅ、んん…!』
浅かったのはほんの少しだけ。口の中では晋助の舌が好き勝手に動き回って私の舌を捕らえている。
『ふ、なに、し…んぅっ』
一度離されたかと思えばまた口を塞がれて。ドンドンと晋助の胸を叩く手は、力が抜けて今ではしがみつくので精一杯。
『し、ん…ふぁ…っ』
つつ、といつの間にか首筋へ晋助の長い指が這っていた。
それに気づいた瞬間に唇が離れて、私は肩を揺らしながら息を吸う。
『は、あ…』
「…感じたか?」
『、な…!』
クク、と喉の奥で笑う晋助に身体が熱くなるのがわかる。
『そんなわけ、な…ぁ、ん!』
「嘘はいけねェなァ、名前」
ペロリと耳を舐められて独特の低い声が鼓膜を犯す。逃れようとした身体はたちまち力をなくした。
『なん、で、こんな事するの…』
「……」
うっすらと膜が張る瞳で晋助を映せば、晋助は一瞬だけ片目を見開いた後、ソッと私を抱き寄せた。
『し、ん…?』
「……悪ィ、名前」
嫉妬した。
ボソリと呟いた言葉は確かに私の耳に届いた。
『しっ、と?』
「……ああ。昼休み…お前男に告白されてただろ」
『告白……あ、』
そう言えば、お昼休みに男の子に呼び出されたんだっけ…
…え、まさかそれで?
「あー…クソ、ダセェ…」
ちらりと横を見ると、晋助の耳が真っ赤に染まっているのが目に入って、つい笑ってしまった。
『……嬉しい』
「あ?」
『だって、私ばっかり晋助が好きみたいだったから』
女の子達に囲まれる晋助を見るたびに、いつも嫉妬してたから。
だから、晋助がこんなにも必死に私を繋ぎ止めようとしてるのが…可愛くて、愛しくて。
『嬉しい……すごく』
「…物好きな女だな、お前ェ」
『ふふっ、晋助だって』
ゆっくりと身体を離して晋助の頬へ口づけてやれば、仕返しとばかりに唇へ深く口づけられた。
「…名前、愛してる」
『私も、愛してるよ』
嫉妬深さもお互い様。
(…つーわけで、ヤるぞ)
(……へ?)
(続きに決まってんだろーが。あんなエロい声聞いて我慢出来ると思ってんのか?)
(や、あの、ちょ…待って…!)
(お前に拒否権なんざねェんだよ)
(晋助…っ)
オレサマ万歳!
2011/10/23