Dream
□俺は俺を、赦さない
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私は私を、赦さない続編
兄という存在で生まれてきた俺は、俺を恨んで。
同時に妹という存在で生まれた妹を、俺は愛した。…でも、それは決して叶わない恋だと…俺は涙を流した。
…俺は、この家に生まれた事を恥じた事は一度だってなかった。ただひとつあるとすれば…愛した女が、肉親だったという事だ。
「名前…」
隣で眠る名前の頬へ手を這わせる。涙に濡れたそれは、どうしようもなく愛おしく思えた。
…好きだと、涙を流した名前に、俺はただ拳を握り締める事しか出来なくて。抱き締めてやりたいと思う程に想いは募った。
「…はは、俺も…どうしてしもたんやろなぁ」
名前が触れた唇が熱い。堪忍な、と彼女が口づけたそれは涙の味がした。
…どうしようもなく愛しくて、どうしようもなく切なくて。
「……好きや」
俺は名前の唇に、自分のそれを重ねた。
「……ほんまは、ずっと好きやったんや。ずっと、ずっと…」
10も離れた妹を、一人の「女」として見はじめたのはもう何年も前。
無邪気な笑顔を自分のものにしたくて、俺だけに微笑んで欲しくて。
…ずっと、我慢してきた。
「…名前、名前、」
愛しとる。
何度も何度も名前を呼んで、何度も何度も唇を奪う。
『ん…』
はぅ、と漏れる吐息に欲情して、唇に舌を捩じ込んだ。
「ん…」
『ふ…ん、んぅ…っ』
うっすらと開く綺麗な瞳が驚きの色に変わる。
『じゅ、に……ふぅ、んぁ…』
「…っ」
言葉を奪って、そのままベッドへ押し倒すと、怖ず怖ずと背中に腕が回された。
『ん…ん、』
「は…っ」
ちゅる、と唇を離して白い首筋に舌を這わせれば、華奢な身体はビクリと震えた。
「名前…」
浅く息を吐く名前を見下ろして名前を呼ぶ。
複雑そうで、それでいて悲しそうな瞳が俺を映した。
『柔、兄…どうして、』
「…堪忍な。ほんまはずっと、我慢しとったんや」
『我慢…?』
「…おん」
ゆっくりと名前の身体を起こして強く抱き締める。
「…好きやったんや、名前が」
ずっと、ずっとな。
『…!う、そ…』
「…ほんまや。お前を妹として見れへんかった…」
『…っ』
じんわりと寝間着から滴る水。小さく鼻を啜った後、私もと呟く声が聞こえた。
「…知っとった。まさかキスするとは思わへんかったけどなぁ」
『なっ、き、気づいて…!』
「当たり前や」
クスリと苦笑すれば、名前は恥ずかしそうに俺の胸へ顔を埋める。
それが可愛くて、ソッと名前の頭に口づけた。
「……堪忍え、名前…」
『柔兄…なんか言うた?』
「…いや、なんも言うてへんよ」
……赦される筈のない恋だと、
それは自分が一番良くわかっている筈なのに。
『柔兄…大好きやよ』
幸せそうに微笑む名前を、俺はほんの少しでも…手放したくなかった。
「…俺は、愛しとる」
腕を取って口づける俺の頬には、悲しみに似た涙が滴っていた。
堕ちたなら、俺はお前と共に在る事は出来るだろうか。
だがきっと、俺を赦した俺は…赦される事を知らない。
多分幸せにはならないだろうな…
近親相○ネタすみませ!orz
2011/09/20