Dream


□哀歌を泪にのせて
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どうして人間は、こんなにも脆いのか。




「…名前、」




血塗れの身体を抱き起こして名前を呼ぶ。

雨が降っているからだろうか。名前の身体は冷たく冷えきってしまっている。




「名前、名前」




こんなにも名前を呼んでいるのに、




「名前、起きてください」




どうして貴女はボクの名前を呼んでくれないんですか。




「……愛しています」




ほら、ボクがここまで言ってるんだ。いつものように笑ってください。
私もと、言葉を繋いでください。




「……名前」




…ああ、固く瞑った瞳は決してボクを映そうとはしない。




「死んで、しまったんですか…?」




サアサア、雨の音が耳障りだ。まるでそうだと言ってるみたいじゃないか。




「…もう、貴女には会えないんですか」


「もう、会うことは出来ないんですか」


「どうやったら、貴女に会えるんですか」




「名前」




どうしてだろうか。雨とは違う何かが、ボクの目から流れ落ちてくる。




「…こんなモノ、知りません」




拭っても拭っても、止まる事を知らないようにとめどなく流れる何か。




「名前…どうして雨は止むのに、この雨は止まないんでしょうか」




ポタリ、名前の頬に滴が落ちた。




「名前、目に水が溜まって前が見えないんです」




でも、貴女が笑ってくれたら、ボクも笑えるかもしれない。

名前…ボクの為に、笑顔を見せてください。
嘘だよと笑って、冷たくなったこの身体を抱き締めてください。





「ボクがそっちに行けば、この雨は止んでくれますか」




ボクがそっちに逝けば、貴女に会えますか。







頭から離れないんです。











死ネタに目覚める



2011/09/01

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