Dream


□悪魔に溺死
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「愛していますよ、名前」


『ごめんなさい』




ぺこりと頭を下げれば、にこにこと笑っていた表情が途端にこの世ではあり得ないものになった。




『…フェレス卿』


「いやですねぇ、名前で呼んで頂いていいんですよ?」


『……』




…さっきまでの落ち込みようはどこ行った。




『…フェレス卿、いい加減つきまとうのはやめてくれませんか?』


「おや、紳士につきまとうなど失礼ですね。私はただ、名前の後を付いて歩いているだけです」


『……』




…それを世間ではストーカーって言うんだよ。




「ところで、今はどちらに?」


『…祓魔塾の代理に。奥村先生が任務で授業に出られないというので』




ふぅ、と溜め息混じりに言えば、フェレス卿はいつの間にか私との距離を詰めていた。




「……許しません」


『は?何ですかフェレスきょ』

「思春期真っ盛りな男の前に名前を晒すなどもってのほかです!」


『……はい?』




冷たい目で嘆く悪魔を見ていれば、肩に手を置かれてガクガクと揺さぶられる。




「15歳でも男!しかも思春期絶頂期!性に芽生えるこの時期に彼らに何かされたりでもしたら…!」


『……』




…どこからこんな妄想が広がるんだか。




『アニメの見すぎですよ、フェレス卿。…それにご心配なく』




肩に乗る男の手を払って懐に忍ばせている銃に手を掛ける。




『…彼らはあなたと違ってそんな事はしませんから』




チラリ、銃を晒せばフェレス卿はほぅ…と意味深な笑みを溢した。




「では何かされたならば、その銃で調伏すると」


『ええ、主にあなたに(だけ)ですが』


「クク…実に面白い」


『…?』




フェレス卿はくつくつと笑いながら横目で私に視線を送る。




(……むかつく)




それに多少イラッとしつつも銃を収め授業に向かおうと足を進めれば、手を取られて壁に押し付けられてしまった。




『…な、何をするんですか!』




フェレス卿!と目の前に居る悪魔を睨み付ければ、おや?と顔を近づけてくる。




「調伏…しないんですか?」




私を。と、そう言いつつも目を細めながら、つぅ…と私の頬へ指を這わせてくる。




『…っ、仮にも理事長に、銃は向けられませ…ん』


「そうですか」




ホントはめちゃめちゃ撃ちたいんですけどね。…なんて言える訳もなく。

はぁ、と溜め息を漏らしながら退いてくださいと抗議しようと顔を上げた瞬間、




『、え…?』




ポスンと身体が目の前の広い胸に押しあてられた。




『…フェ、レス…卿…?』




自然と熱くなる頬に、煩く鼓動する心臓。それに驚きながらも上を見上げれば、私を抱き締める張本人が頬をほんのりと染めながら微笑んでいるのが見えた。




「…私も、大概頭が可笑しくなってしまったようですねぇ」


『へ…?』




自嘲気味に笑う声に首を傾げる。




「……貴女になら、殺されてもいいと…思ってしまいました」




そう、耳元で囁かれた。




『…な、何言って』


「愛していると、言ったでしょう」




名前、と小さく私の名前を呼ばれる。




「つきまとってしまう程、15歳の少年に嫉妬してしまう程…貴女に溺れているんですよ」


『…っ!』




見たことのないぐらいとろけるように微笑むこの人に、何故かわからないけど…見惚れてしまった。




「名前、私のものになってくれませんか?」




身体をゆっくりと離して、跪きながらソッと手を差し伸べるこの人が本当にかっこよく見えるのは…私の錯覚なのだろうか。




『……か、考えるくらいなら…いいですよ?』




…そう言ってしまう私はとうの昔に、この悪魔に溺れてしまっていたのかもしれない。







溺れてしまうのはきっと、目に見えてる。



(これが噂のつんでれですか…)
(…は?つんでれ?)
(名前は焦らしな素質だけでなくつんでれの素質もあったんですねぇ)
(………フェレス卿)
(はい、何でしょう)
(…今の取り消さないとぶっ殺しますよ)
(…ほぅ、やんでれの素質もあるのか。実に結構!)
((ぶっ殺!!))











変態的紳士メフィさん☆(キラッ←



2011/08/25
2011/09/04 加筆

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