Dream
□一歩進んだ関係に
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幼なじみなんて言葉は言葉でしかなくて。一番近くて、一番遠い存在だと気づいたのはもう随分と前だった。
「…名前」
『んー?どないしたん、竜士』
へらりと笑う名前に胸が痛いほど高鳴るのにはとうに慣れた。
「今日、一緒に帰らへん…か」
中学時代なら、何も言わずに並んで帰るのが当たり前やった。今となっては懐かしい思い出。
『今日?せやなぁ…ええよ!』
「ほ、ほんまか!」
『おん。うちも久しぶりに竜士と帰りとぉ思っとったんよ』
「…!」
にししと悪戯っぽく笑う表情にすら愛しさを感じる俺はとうとうイカれてしまったかもしれん。
『竜士?行くえ?』
「お、おん」
バイバイとみんなに手を振って行こかと俺の手を取る。いつも名前に話し掛ける志摩が「坊、頑張ってくださいね」と笑っていたのが見えた。
『ほんま久しぶりやね、竜士と帰るん』
「…せ、せやな」
夕焼けを背に歩く名前の手には未だに俺の手が繋がれている。
『…竜士、高校入って急に大人っぽくなったし、ほんまはちょっと壁感じとったんよ。せやから、今日誘ってくれて…嬉しい』
「!」
…そんなん、俺もや。
無邪気に笑う名前がうらめしい。結局、愛しさが募るんは俺だけなんやから。
「…名前」
『んー?』
「好きやで」
『…うちも、竜士が好きや!』
大好きやで!と満面の笑みでそう叫ぶ。
「……阿呆、お前の好きは俺の好きとちゃうやろ」
『え?竜士、今なんか言ったん?』
「…何でもないわ、ボケェ」
きょとんと瞬きをする名前を小さく小突けば、子供のように笑顔を作って、
『竜士、ずっとうちの幼なじみで居てや?』
と、囁くように俺に言った。
その言葉はきっと俺を縛り続ける。
(…嫌や)
(な、何でなん?)
(……)
(竜士はうちの事、嫌いになってもぉたんか…?)
((クッ…か、かわええ…!))
(竜士…?)
(…俺は、一生お前の幼なじみで終わる気は無いんや)
(…?どういう意味なん?)
(…名前、俺はお前が好きや。せやから、俺はお前の彼氏になりたい)
(……)
(…名前?)
(…う、うち…)
(返事はいらん)
(、え…?)
(俺が絶対にお前を惚れさせたる。それまで待っときぃ)
(…!)
((……アカン、かっこつけてもぉた。一体いつんなったら恋人になれるんや…?))
あかん、エセ京都弁楽しいわぁ\^^/
2011/08/22