*BLEACH*
□暗い闇
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お願い、もうやめて。
隣の部屋にまで聞こえてしまう、と大き過ぎない声で懇願した。
それは私自身を守る為ではなく、この優しい人を守る為だった。
「…言いたくないけど、やめたら?」
「…うん、そうだね」
食事を運んできた弓親が腫れ上がった唇を見ながら吐き捨てるように言い、
見て見ぬ振りを続けさせている事が申し訳なくなって小さく謝った。
「ごめんね」
「君が謝ることじゃない」
僕はあの人が好きだ。尊敬だってしてる。だけどこれは遣り過ぎだよ。
伸ばされた指先を避けると驚いた顔をしてから息を吐く。
「君が良いと思っていても、あの人がダメになる」
「……」
そうね、これで良いとは思ってないのよ。でも大丈夫なの。
いつもは凄く優しい。昨日だってほら、これ買って来てくれた。
掌の上できらきらと輝く髪飾りはとても美しくて、見てるだけで幸せな気持ちになれる。
言葉と体でしか表せない物を形にしたみたいでしょう?
「大切にするってそういう事じゃないでしょ」
「…うん」
「僕が口を出す事じゃないけど…」
「ううん、ありがとう」
無理に笑ったら傷が引き攣って痛んだ。