*頂き物夢*
□ゆきんこ
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ゆきんこ
珍しく数日降り続く雪。
真っ暗な空から降ってるのか、逆に吸い込まれてるのか。わからなくなるくらいに静かで真っ白な風景。
息子は試験(監督だったらしい)も終わり友達と朝まで飲むぜ!とかいってでかけた。することもなく、そろそろ寝るかと、灯りに手を伸ばしたとき。
赤いイチゴが窓の外でふわふわ揺れている。驚いて空ければ、雪まみれで真っ赤帽子とほっぺたをしたゆきんこが・・・・・・いっぴき。
「なにやってんだ?」こんな遅くに一人で来たのか?心配して見つめると、にっこり笑って、窓越しに、ただオレの方へ両腕を差し出す。仕方がない。
「ガキじゃねーんだからよぉ・・・」と文句を言いながらも引き上げてやった。
「こんな遅くに一人であぶねーだろう?」シカマルと同じ歳で、忍でもないこいつにとって、この大雪の中、歩いて1時間はきつかったであろう。
「これ、シカクにあげる。」
「なんだ?」
差し出された袋には、大きなイチゴが五粒、ヘタが二つ入っている。
「今日買ったイチゴがね、すごくおいしくて。シカクにもあげようと思ったのー。それで、歩いている途中で我慢できなくって2個食べちゃったけど。」雪を払ってやり、濡れた髪をタオルで拭う間ずーっと嬉しそうに話しているコイツは・・・。
「それでね、明日にしようと思ったんだけどお店の人が今日が一番おいしい食べごろですっていってたのを思い出したから、今日のうちに持ってきたの。」褒めて!!と言いたげな笑顔に、「おー、そうかそうか。お前は可愛いなぁ。」と抱き上げてしまいそうになったが、ここはオヤジ心の難しいところで。
「もうこんな無茶はすんなよ。」と、照れ隠しでそっけなく言い放ってしまい、丸い頬に流れる大粒の涙を見て、しまった・・・と焦るオレ。
「わかった、もうしないもん」本心からではなく、乙女心をぺったんこにつぶされて、泣きべそなこいつに。どうやって接したらよいものかとひそかに頭を悩ませる。
「なぁ。」
優しく呼んでも部屋の隅にイジケテしゃがみ込み、返事もしないそいつを抱き上げる。
「おい。」
覗き込んでも、涙のいっぱいたまった目で、知らん振りをして黙ったまま。
「おーぃ、なに黙ってんだ?」でも、あやすように頬を突付くとちょっとくすぐったそうに笑った。その笑顔にほっとする自分。女の機嫌をとろうとはおもわねーが、こいつの笑顔はトクベツだから。
女はいくつであっても、行動やパターンが似てるのはなんでなんだろう。
ひざの上に抱き上げたまま、独り言のようにイチゴでも食うか〜と一粒口に入れる。確かに甘くてイチゴの香りがしっとりと口の中に広がって旨い。
「旨いな。」ありがとうな・・・と涙を拭いてやれば、機嫌を直したのか甘えるようにオレの体にぺたっと抱きついてくる。
「今日は泊まる!」いきなり偉そうに宣言して、オレのひざからおりて寝室に走っていくゆきんこ。
「おい、それはまずいだろっ!」未だに若いこいつに手は出していないが、未成年うんぬんという言葉が頭を巡り、打ち消すようにあわてて追いかける。
「どーして?もう雪がすごいから帰れないもん。シカクにおくってもらっても風邪ひいちゃう。」勝手にオレの布団にもぐりこむ。
「同じ布団で一晩はまずいじゃねーの。なんかあったらよ・・・」
「なにかするの?」
さっきまでの幼さの残る甘ったれはどこかへ吹き飛び、誘うような子猫の瞳で見つめてくるこいつは。
「えーぃ!」
オレを慌てさせる様に、そいつは着ていた洋服をぽんぽん脱いで部屋に巻くように脱ぎ散らかす。ニットのセーター、スカート、靴下、キャミソール、若くて弾力のありそうなミルク色の肌と華やかな下着の色に一瞬目を奪われるが、下着に手を掛けたときに、さすがにまずいと思い、腕を掴んで勢いで布団の上に倒れこむ。
「すげー雪でさぁ、もうどこの店も閉まっちまってよぉ・・・父ちゃん、うちに酒あったっけ?」
若い肌もあらわな女と絡み合う親父の姿。
寝室のドアの前で立ち尽くす息子に。
オレはいったいなんと説明をしたら良いものか。何も言わず、すーっと閉められた寝室のドアに向かってひたすら唸るオレだった。
えんど
ユアンさんがメールで投下してくれましたーvv
アップが遅くなってしまってすみません><ユアンさんめっちゃありがとうでした!ラブーvvv(*´v`*)