月よ、星よと 眺むモノ 原作

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あの後入学式の前だからと軽めに終わった練習。
起き抜けにきちぃ運動しなくて済むからありがてぇんだが…


「鬱陶しい…」
「お前ら見てて気持ち悪ぃ。」
「つかいい加減離れろよ、一也。」
「やーだね。」


一也が背中にくっ付いていて暑苦しい。
朝置いて行った事が不満だったらしい。

別に女子じゃねぇんだからよ。
一緒だろうがなかろうが関係ねぇだろ。


「んなに朝置いてかれたのが気に食わねぇのかよ。」
「面倒くせぇ…」
「うわーショック。一也君ともてショックだわ。」
「きめぇ…」
「はぁ…」


部室から教室まで、いや教室についても離れねぇ。
席につくから離れるかと思ったが、なんとこいつは俺と背もたれの間に座りやがった。
しかも両腕をご丁寧に腰に回して、肩に顎を乗っけて。


洋一お前きめぇとか言いつつ顔笑ってんだよ…


「まぁそれは良いとして?いつの間に仲良くなったんだよ、あいつと。」


今までふざけてたくせに、一瞬にして顔がマジになる。


「あいつ…?」
「沢村だよ。さ・わ・む・ら。」
「そーいえば朝の時点で大輝に相当なついてたな。」


なーにやったんだよ。
そう言って洋一は笑うが一也は不満だとふて腐れてやがる。


「何って…応援してるって頭撫でてやっただけだぜ?」
「あいつ帰ったらスパーリングだな…」
「あんま苛めてやんなよ…」
「つーか?大輝はあいつの事気にかけ過ぎ。」
「はぁ?」


腰に回している腕に力を込められる。
なんでこいつ機嫌わりぃんだよ…


洋一を見れば肩を竦めるだけで助けてはくれねぇみてぇだし…


「はぁ…」


しゃねぇなぁ…


「大輝…?」


今まで入れていた力を身体から抜いて後ろの一也に寄りかかる。
それが意外だったんだろう。
一也が少し驚いているのがわかる。


「確かに気にかけてっけど…」


それが、気に入らないのか…?
まぁ俺は一也じゃねぇし、そこんところはよく分かんねぇが。


「あいつが立派なエースになるためには、うちの天才キャッチャー様の力が必要不可欠だかんな。」


驚いた一也の頬を後手で撫でる。
いつも飄々としているキャッチャー様だ。
こんな表情させられるのも、見れるのも貴重だ。


「期待してるぜ?キャッチャー様?」


そう言って笑えば一也は俺の肩に顔を埋める。
これまた珍しく足をバタつかせて。


「一也どうしたんだ?」
「無自覚こえぇ…」
「?」


洋一はこれ以上関わりたくないとばかりに前を向いてしまった。


「大輝…」
「なんだよ…」
「お前ほんっと最高だわ。」
「?おう…」


よく分かんねぇがとりあえず、機嫌が直ったみてぇで何より、だな。



月よ、星よと 眺むモノ 07



2015/04/12 來華
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