月よ、星よと 眺むモノ 原作

□04
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「今日こそ打ち取ってやるぜぇ、一也君よぉ。」
「わはははは!!やれるもんならな!!」
「ひゃーははは!!大輝思いっきりやってやれ!!」


飯後のフリーバッティング中。
その名の通りフリーに練習してる。


中には飯の後で動けねぇってやつもいるようだが…
俺たちには関係ねぇな。


「行くぜ…マサカリ投法!!」
「世界の1本足!!」
「抜かせるかオラァ!!」
「っしゃあ!!ショートゴロ!!」
「あ倉持てめぇこら!!」


このフリーバッティング。
最初はただの練習だったんだが、いつからか3人での勝負事になっちまった。

まぁ片岡監督も何も言わねぇし?
結構好き勝手やらしてもらってる。


「1年生集合ー!!」
「これより能力テストを行う!!」


お、能力テストか…
今年はどんな感じなのかねぇ。


「ん?なんだよ気になる奴でもいんのかよ。」


一也へ向けていた身体をBグラウンドへ向けなおす。
そこへ1年達が集まりだす。


「洋一と同室の少年。この間一也と面白い事してたよな。」


まぁた面白ぇことしてくれんだろうな。
ほんと、毎回飽きねぇ奴。


「つーか、お前らちゃんとあいつ連れてってやったのかよ?」
「「え?」」
「は?」


あーあ。
可哀想に…
一人だけ謝りに行ってねぇんだろうなぁ


でも…
監督も厳しいっちゃ厳しいが、ちゃんと見てくれる人だ。
今後の頑張り次第ではってとこか…


「ほんっと、飽きねぇなぁ。」
「大輝もな。」
「あぁ?」


Bグラウンドの入口に腰掛ける俺に、一也と洋一は苦笑いして肩を竦める。

んだよ…
2人だけでわかり合いやがって…


「っま、ほどほどにな。」
「俺らバッティング戻っからよ。」


そう言って一也と洋一は俺の頭を撫でて戻っていった。
その背を見送り、かいた胡坐に肘をつきBグラウンドの成り行きを見守る。


「赤城中出身、沢村栄純!!」

「記念すべき高校生活第1球投げさせて頂きます!」


大きく振りかぶって投げ出されたボール。
その行方をグラウンドにいる全員が見守る。


やっぱ独特な投げ方。
遠投の投げ方じゃねぇよ…

しかもその起動は綺麗なカーブを描いた。


「遠投でカーブ投げてどうすんだよ!!」


カーブ投げて?
カーブであそこまで飛ぶか、普通。
つーかこいつだってカーブ投げた自覚ねぇだろ。


沢村の放ったカーブ。
果たしてその意味に、気づけるだけの奴がこの中にいるのか…


まだざわついているグラウンドに背を向ける。


「ほんっと、いつまで経っても飽きねぇとこだよ。ここは。」



月よ、星よと 眺むモノ 04



2015/02/16 來華
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