月よ、星よと 眺むモノ 原作

□03
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まだ空も暗く辺りが静寂に包まれる中、青道高校野球部は始動する。


「ふわぁ…眠っ…」
「でっかい欠伸。昨日はさっさと寝たんじゃないの?」
「あぁん?大輝てめぇ人の誘い断って夜更かしたぁいい度胸じゃねぇか!!」
「ちょ、純さん違いますから!!」
「へぇ純から逃げるのに嘘ついたんだ。いい度胸してるじゃん。」
「だから違うって…」


列に並んで監督を待っている間、両脇の亮さんと純さんとじゃれ合う。
つぅかこの人たち朝っぱらから元気すぎ…
げっそりしながら周りを見る。


洋一は増子さんの隣でちゃっかり安全圏に逃げてやがるしよぉ…


「一也いねぇし…」
「よそ見か?あぁ?」
「純さん…」
「良かったね大輝、監督来たから。」


「「はようざいます!!」


「これで入部希望者は全員か?」
「「はい!!」」


つぅか…
あの面白少年もいなくね?


礼ちゃんがあれだけ押してて、しかも東さんを打ち取ったんだ。
うちでも十分通用すると思ったんだけどよ…


「あーーー!!こいつ遅刻したのに列に紛れ込もうとしてるぞーーー!!」

「うぉ!?」


今の、一也の声、だよなぁ…
しかもあの面白少年…
はめられたな、確実に。


「ふふふ、可哀想に。あの子御幸に騙されたみいだね。」
「けど一也も爪があめぇっすよ。あれじゃ監督にすぐばれますって。」
「つーか初日から遅刻ってよ…同室の2,3年は何してんだよ!!」
「ちょ、純さん声でかいって。」
「大丈夫、大丈夫。監督こっちは眼中にないみたいだし?」


亮さんの言葉に監督に視線をもど、


ちょ、こえぇ!!


「練習が終わるまで走っとれい!!」

「可哀想に…」


洋一は爆笑してるし増子さんも…
つぅか一也もちゃっかりすぎだろ。
でも、まぁ監督が見逃してくれるわけねぇだろうけどな。


「それから…この男と同室の上級生…どさくさに紛れそこに並んでる大バカ者。お前らもだ!!」

「ぶはっ!!」


ご愁傷様っ。


「大輝てめぇ今笑いやがったな!!」
「うっせ、つぅかお前同室なら面倒見てやれよ。」

「だいちゃんも一緒に行く?」
「ぜってぇ行かねぇ!!」
「つれねぇなハニー?」
「あいにく予定があるんでな、ダーリン?」


軽く手を振って受け流す。
起きたばっか朝一の時間だ、ランニングなんて嫌すぎるだろ…


「ほら大輝行くよ。」
「うぃ。ほらお前らもとっとと行け。」
「うっし!!行くぞ大輝!!」


軽く柔軟しながら純さんと亮さんと歩きだす。


まだ薄暗い空からわずかに指す日の明かり。
肌を触る、冷えて温まりきらない風。


体育館じゃ、こんなの感じねぇ…よな。


「大輝どうした?キャッチするぞ。」
「哲さん…」
「………うむ。一局指すか?」
「……いや、いいっす。」



月よ、星よと 眺むモノ 03



2015/1/25 來華
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