月よ、星よと 眺むモノ 原作

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東さん相手に啖呵切った中学生・沢村。
そいつと東さんの勝負だっつぅんで、練習はいったん中断。


「てかいいのかよ、礼ちゃん。中学生のガキマウンドにあげて。」
「あら、あなたがそれを言う?青峰君。」
「っ…」


ニヤリと笑ってこちらを意味ありげに見てくる礼ちゃん。


そりゃあ、俺が言えた立場じゃねぇけど…


「それに…大丈夫よ!!あなた達が黙っていれば。」


ふーん。
そうまでして投げさせたい何かがあるんだろうが…
東さんを挑発して、一也を座らせるだけの価値があんのか?


「まぁ、いっちょお手並み拝見、てとこか。」
「えぇ…面白いものが見れるわよ。」
「期待値でかいねぇ…」


つーか、一也の構えてる場所…
東さんの大好物じゃねぇの?
相変わらずえぐいねぇ。


ま、誰も東さんが負ける、とは思っちゃいねぇだろう。
大好物だろうがなかろうが東さんなら、スピードも球威もないようなボールなら簡単にスタンドへ運ぶ。


そう…
マウンド上の沢村も感じ取ったんだろうな。


ドン!!


「なんじゃあおい!!ビビッて手が振れとらんやないかい!!」


一也の構えるミットへ投げたボールはミットへ届く前に地面へ吸い込まれた。


「っは!!なんつーでたらめやろーだ。」
「ね?面白いでしょう。」


そう言って笑った礼ちゃんに頷き返し、目はグラウンドへ戻す。


「それにしても…」


2ストライク2ボールに追い込んでのラスト1球。


沢村からの左手から放たれた渾身の一球は


「ナイスボール!!」


東さんのスイングしたバットをすり抜け、一也の構えるミットへ吸い込まれた。


「随分と、楽しそうに投げるんだな…」



月よ、星よと 眺むモノ 02



2015/1/12 來華
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