月よ、星よと 眺むモノ 原作
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「コラァピッチャー何じゃその腑抜けた球は!!」
おーおー
東さんのヤロー、まぁた、飽きもせずに吠えてやがる。
いい加減こっちは聞き飽きるぜ。
「毎回毎回、ちーったぁ静かにできねぇのかねぇ。」
「まぁ無理だろ。今さいっこうに天狗だから、あの人。」
「っは!!ちがいねぇ!!」
ニヤリ。
そう笑って手の中で遊んでいたボールを同じように隣に座ってる一也に投げれば、なんなくキャッチして同じように遊び始める。
それを横目に見ながら、目線を東さんへ戻す。
まぁ、それがいい意味でこのチームに喝を入れてんのかもしれねぇけど…
「ノリにはちーったぁきついんじゃねぇの?」
「けど、3年が引退した今、丹波さんだけじゃあ勝ち上がれねぇんだ。成長してもらわねぇとな。」
「おーおー。うちのキャッチャー様は厳しいねぇ。」
「っははは!!だいちゃんには優しいつもりですけど?」
そう笑いながら俺の首に腕を回し顔を覗き込んでくる。
「有難くて涙が出るね。」
「こらこら、本気にしてねぇだろ。」
そう言いながら顔をさらに近づける。
ちょ、さすがに近すぎやしねぇか!?
しかも顔に手添えやがって…
「お、おい
「名門と呼ばれるこの学校じゃあ、そんな大切なことも忘れてんのかよ!!」
突如グラウンドから聞こえた声に、そのままの姿勢でお互いに視線を合わせ、そして外す。
「「?」」
「なんだぁ?あのガキいっちょ前に東さんに喧嘩売ってやがる。」
「礼ちゃんが連れてきたみてぇだな。…なんか面白そっ。」
おいおい…
顔が悪くなってんぞ…
「ここは野球のグラウンドなの…言いたいことがあるならプレーで見せてもらえる?」
「お呼びだぜ、キャッチャー様?」
「ちょっくら行ってくるか…せっかくいいとこだったのに…」
がっくりと肩を落とした一也の身体に体重をかけ身体を密着させる。
面白そうだっつったのは、お前だろうが。
なーに言ってやがる。
たっくしょうがねぇ…
やる気、ださせてやるか。
「期待してるぜ?ダーリン。」
「!?」
「行ってらー」
「ふっ…行ってきまーす、ハニー。」
月よ、星よと 眺むモノ 01
2014/10/13 來華