つめこみ

□倉持ハピバ
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「何で俺が…」

「だーから悪ぃって言ってんだろーが。」

「うっせ、口動かすくれぇーなら手ぇ動かせよ。」



そう言って俺の座ってる椅子に蹴りを入れてくる洋一。



間違いなく、俺が一也か沢村だったらこの蹴りは足に入ったな。

いや、スパーリングの餌食か…

どちらにせよ、無事ではすまないだろう。



「なんだよ、人の顔じろじろ見て。」

「別に〜?」

「なんか腹立つな!!」



そう口では言いつつ、やっぱり俺には手を上げないし、足も出さない。



普段が普段だから分かりにくいが、洋一が技をかけたりするのは相手が嫌いだからじゃない。

その逆だ。

沢村に対してだって技をかけさえするが、落ち込んでる時は慰めたり、なんだかんだ可愛がってるのがわかる。



一也の事もまぁ、本人は自覚してねぇのかしてるのか。

気にかけて良く見てる。



「つーか、先帰ってろよ。別に俺に付き合う必要なんてねぇんだからよ。」



平日に練習試合だ公式戦だと多い俺たちはよく公欠で授業を抜ける。

そこは学校も分かってくれているし、怒られることもない。

ただやはりそれ相応の課題は出されるわけで。



おのおのクラスも違えば学年も違うので、出される課題も違う。

その中で俺たち2-Bは数学だった。

しかもその課題が今日の授業までだったのをすっかり忘れていたのだ。

数学担当の教師は苦笑いを零したものの、放課後でいいから持ってこいといい授業後の教室を出て行った。



今日は珍しく練習もオフだったので寮に戻らずそのまま教室で課題をこなす。

悪いのは俺で、別に洋一は関係ないのだ。

その証拠に一也はさっさと帰っていった。



「たまのオフだぜ?早く上がれんだろ?」



そう言ってプリントに落としていた視線を洋一に向ければ、どこかふて腐れた表情があった。



「うっせ…」



表情はそのままに洋一の手がこちらへ伸びてくる。

その手の伸び先を眺めてると、行き先は俺の右頬だった。

行き先は右頬だって分かったが、実際に触れられると少しビクついてしまった。



その様子は机を挟んですぐ目の前の、しかも俺に触れている洋一には容易に分ったろう。



「ひゃはっ…なんつー反応してんだよ、」



それに少し気をよくしたのか、漸くその表情に笑みが浮かぶ。

けれど、その笑みはいつもの人をからかうようなモノではない。



「別に、なんでもねーよ。」



俺が手を払わないと分かったのか、洋一は機嫌良さそうにしている。



「…おら、さっさと手動かせよ。」

「わーってるっつーの。」

「ここ、間違ってんぞ。」

「…っせ…」



頬を撫でる手はそのままに。

だんだんと距離が近くなる。

お互いの額が触れるか触れないか。



少しでも目を上げれば、視線が交わってしまう。

そう考えただけで、何故かシャープペンを握る手が震える。



「っ…」

「大輝…」

「っな、んだよ…」

「なんで緊張してんだよ。」

「なっ…」



思わず、視線を上げる。

やはり、というか、すぐそばに洋一の顔が。



ちゅっ



「大輝顔真っ赤だぜ?」

「〜〜〜っ。」



こいつ!!



「ひゃはっ!!んじゃ俺は先帰ってっからよ。」



洋一はそう言ってカバンを持ち上げて颯爽と教室から出ていく。

その背に文句の1つも投げる事もできずに。



まだ仄かに残る、その、温もりに



「洋一のやろ…っ。」



熱の集まった顔を隠すように机に伏せた。




20150517 倉持ハピバ!!

(まだ、感触が、残ってやがるっ)

(やっべ…可愛すぎだろっ)




2015/05/17 來華


もっち先輩はぴば!!
なんとかギリギリ当日中にUPできた…
そして栄純に引き続き似非ができあがってしまうという…

もっとキャラをつかめるよう勉強せねば…
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。

これからも、もっち先輩が活躍しれくれますよーに!!

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