つめこみ

□栄純ハピバ
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それは唐突に。

けれど、どこかで感じてはいた。



「おい。なんだよ、この状況は…」



今しがたこの状況を作り出した張本人に問いかけても答えは帰ってこない。

そこにある顔はこちらから見ると丁度陰っていて、表情が確認できない。



「おい、沢村。」

「……っ」



洋一に借りた雑誌を返しに来ただけだった。

5号室を除くと増子さんも、目当ての洋一もおらず、沢村だけがそこにいたのだ。



手に持っていた雑誌はそのまま洋一の机へ。

沢村と言えば口にスプーンを加えプリンを片手に何やら考え込んでるようだった。

スプーンこそ加えていたが、プリンのフタは開けられていなかった。



よっぽど深刻な事考えてんのか。

らしくねぇな。



そんな様子にあんま考え込むなよと頭を軽く撫でて部屋を出ようとした。



はずだった。



腕をつかまれたかと思うと、気づけば床に押し倒されていた。



「おい、いい加減にどけよ。」



うん、とも、すんとも言わねぇ…

ほんと、どうしたもんか。



ただ相手はあの沢村だ。

そう強張ることもねぇな。



いきなり押し倒された事で、固まっていた身体から力を抜く。

腕は解放されている。

空いている右腕を伸ばして、沢村の頭から頬にかけてゆっくりと撫でる。



別にいいか…



押し倒されたとはいえ、相手は沢村だ。

それさえ気にならなければ、別に床に転がってくつろいでるのと、なんら変わりない。



そう思ってため息をついて腕を下ろそうとした。



「………ぃ…さい…」

「どうした。」

「名前で、呼んでください。」



いつもと違う表情、違う声。

普段騒いでる様子からは想像できないくらい、まっすぐな目。



いや、普段からまっすぐな目だが、今のこの目は違う。



「さわむら…」

「栄純っす。大輝さん。」



右手は沢村の左手に捕らわれたまま。

そのまま俺の右の掌に口づける。



「なっ…!!」



顔に熱がいっきに集まる。



「栄純っす。」



口づけを落とされた右手はそのまま。

まっすぐに見つめてくる沢村に。

促されるように、自然と口が開く。



「えい、じゅん…」

「はいっ。」



とてもか細い声で、かなり震えてしまった。

それでも目の前の沢村はとても嬉しそうに笑う。



「〜〜っ!!」



さっきまでは今まで見た事のない真剣な表情だったくせに。

急にはにかんでみせる。



ころころ変わる表情に、いつもは微笑ましく思える、そのしぐさに。

今ばっかりは心をこんなにもかき乱される。

心臓が物凄い勢いで鼓動を打つ。



「大輝さんにとって俺は、ただの後輩なのかも知れねぇっすけど、」



視線はお互い逸らさないまま。

沢村が顔を近づけてくる。



「俺にとっての大輝さんは、」



ただの先輩じゃねぇっすから。



そう耳元で囁くと笑って俺の上から起き上がる。



「んじゃ俺ランニング行ってきやす!!」



俺は固まったまま。

その場から動けない。



「あ、覚悟しといて下さいね!!俺、御幸一也にももっち先輩にも負けねぇっすから!!」



そう叫ぶと今度こそ部屋から出て行った。



いや、お前が負けちゃいけねぇのは降谷だろう、とか。

先輩に対して呼び捨てはいい加減やめろとか。



言いたい事はこれでもかってくらいある。

けど、



こんな情けない顔じゃあ、なんも言えねぇじゃねぇか…




20150515 栄純ハピバ!!

(くっそ、まだ胸がっ)

(顔真っ赤にした大輝さん、可愛いかった!!)




2015/05/15 來華

栄純誕生日おめでとう!!
ハピバと言うことで「if」ではありますが栄純お相手夢です
攻め攻めな栄純…
私が書くとこんなんで申し訳ない…

これからも栄純の活躍を楽しみにしつつ、応援していきます^^
 

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