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□紡ぐ言葉のミチシルベ
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「・・・・・・・・・・」
生徒会室前。
日誌を書いた俺は、鳳が帰る直前に告げた"生徒会室に持って来い"という跡部さんの命令に従うべく、やって来た。
この扉の先には、跡部さんがいるのか・・・
ドクドクと、心臓が急かすように早くなる。
はぁ、と息を吐き、心臓を落ち着かせると、コンコン、と扉を叩いた。
「はい」
聞こえた声に、また心臓が早くなる。
「あの・・・日吉です、日誌を持って来ました」
「あぁ、入れ」
失礼します。と声をかけてから扉を開け、ゆっくりと足を踏み入れた。
中に入れば、書類のような紙を手に持ち、コチラを真っ直ぐに見ている跡部さんが、肘をつき、ソファに座っていてた。
その視線に耐えられなくて、思わず逸らす。
「・・・日誌です、持って来いと聞きましたので」
「あぁ、ご苦労」
「では、失礼します」
早く去りたくて、日誌を机に置き、目を見ずに扉へと引き返す。
ドアノブを握り、回そうとした瞬間・・・
「待て」
いつの間にか後ろにいた跡部さんに、ドアノブを掴んだ手を握られていた。
「っ!あ、の・・・」
「逃げんな」
びくり、と肩が揺れる。
耳元で告げられた言葉が、いつも以上に真剣で、動けなくなる。
「日吉・・・」
「え・・・んっ・・・」
振り向いた瞬間に、合わさる互いの唇。
「や・・・っ、んん・・・」
顔を逸らそうとするが、跡部さんの片手が俺の頭を固定し、段々と深いものへと変わっていく。
もう片手は、俺の手を扉に押しつけていて。
抵抗していた俺の片手は、いつの間にか、しがみつくように跡部さんの服を握っていた。
頭がクラクラする。