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□真夏の前奏曲
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「おい、日吉」
跡部さんの家。
部活が終わって直ぐに拉致られるのはいつものことで、ベッドの上で本を読んでいた俺に跡部さんが真剣な表情で俺の名を呼ぶ。
こくりと息を呑んだ。
「一緒に祭り行くぞ」
・・・突発すぎるだろ。
真夏の前奏曲
「ですが何故急に?」
浴衣は必須だろ、と言う跡部さんに従い二人で浴衣を着付けている。
俺は唐突に気になった質問を問いかけた。
「行きたいからだ」
「・・・・・・・・・・」
・・・まぁ、行きたくない訳ではないだろうな。
行くのだから。
俺が聞きたいのは、そういう事ではないのだが・・・
「ほら、出来た」
「有難う御座います」
「ん、行くか」
「はい」
あまりにも穏やかな笑みをするから。
聞けなくなった。