Short
□泣きたい時は泣きなよ
2ページ/3ページ
「・・・日吉」
「え・・・わっ」
ぐいっ、と腕を引っ張られベッドへと倒れ込む。
覆い被さるように俺を見下ろすと、ふわり、跡部さんの香水の香りが鼻を擽り、いつもと同じで安心する。
ところでハッとした。
「な、なにするんですか!変態・・・っ、」
「アーン?お前なぁ・・・誰が変態だ、誰が」
アンタだよ!と言う前に、顔を逸らす。
真剣な目をしていた。
芯の強い、真っ直ぐな瞳で、俺に何かを問いかけるように。
見下ろしていた。
「こっち向け、日吉」
「・・・・・・・・」
恐る恐る顔を向ければ、先ほどと同じ、真っ直ぐな瞳とぶつかる。
その瞳と、目が、逸らせなくなる。
「・・・泣いてもいいぞ」
フッ、と優しげに笑う表情が、俺の心を揺らす。
「何、言って・・・」
泣く、なんて。
「泣け。泣きたい時は泣けばいいだろ?俺が全部、受け止めてやるよ」
「・・・・・っ、」
悔しい悔しい。
何もかも、見透かされてるみたいで・・・
抱き起こされ、背中に手を回り、ぎゅう、と抱きしめられる。
頭を撫でる手が優しすぎて、溢れ出した。