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□温もりのとき
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笑って言えば、日吉もふわりと笑って。
そんな表情を見せてくれることが嬉しくて、俺の頬も自然に緩む。
「・・・すいません、ありがとうございます」
「気にすんな」
ぼそっ、と口にしたお礼の言葉はしっかりと俺の耳に届いた。
「寝不足なん?」
「・・・いえ、そんなことないですよ」
横になっている日吉の手を自分の手と絡めれば、恥ずかしそうな表情をしながらも、おそるおそる握り返してくれる。
・・・たまには、こんな時間もいいな。
たまにしか会えない俺たちは、お互いのことを話たり、どこかへ出かけたりすることが多い。
だが、こんなに、のんびりとした時間もいい。
「・・・ここ」
日吉から手をぎゅ、と握られ、また心臓が、ドキッ、と高鳴る。
「ここって・・・ベッドのことか?」
「・・・はい」
眠そうにする日吉は、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「謙也さんのにおいがして・・・安心します」
「!!」
なに、この子!
可愛いすぎるんとちゃうっ!?
思いもよらない言葉に頭がついていかない。