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□君の傍に
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「昨日・・・な、」
「うん」
「忍足さん、女の人と手繋いでたんだ」
「うん」
「人前で俺とは出来ない"普通"の行為をしてた」
「・・・うん」
「俺といたら、忍足さんは・・・」
きっと─────・・・
────・・・キーンコーンカーンコーン・・・
俺の言葉を遮るように、昼休憩終了のチャイムがなった。
「あ、鳴っちゃったね。・・・戻る?」
「・・・いや、サボる」
「うん、分かった。上手く言っとくよ」
「悪いな」
気にしないで。と去って行く鳳の姿が見えなくなると、給水タンクの裏へ行き横向に柵にもたれ目を瞑った。
俺は、忍足さんが好き。
それは絶対に揺らぐことのない、想い。
だから、だからこそ、
この気持ちを捨てなくちゃいけない時もある。
・・・と、思う。
俺の持論なんだが。
俺は熱くなる目尻を膝を抱え隠し、そのまま、意識を飛ばした。
「んっ・・・」
ずしっ、と肩に軽い重みと、全体的に暖かさを感じて目を開ける。
振り向けば、愛しい人の顔が。