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□君の傍に
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「今日は天気もいーし、屋上で食べよっか?」
「・・・あぁ」
コイツにこれほど感謝したことはないな。
心の中で鳳にお礼を言うと、弁当を持ち、屋上へと向かった。
「ねぇ、日吉」
「なんだ」
屋上には、人は1人もおらず、俺達しかいなかった。
柵の方へ腰を下ろすと、すぐに鳳が話しかけてきた。
俺は軽い相槌を返して、弁当を口に運ぶ。
「忍足先輩と何かあったの?」
ポロッと、箸から蓮根が弁当箱に戻る。
「・・・なんでだよ」
「だぁーて、日吉、テニスしてる時のボール可哀想だったよ?目の敵みたいにして・・・」
バレてたのかよ。
落ちた蓮根を再度、口に運ぶ。
「それに、忍足先輩、朝からずーっと、教室の前ウロウロしてたし」
「・・・あ?嘘だろ?」
「え〜日吉、気づかなかったの?」
「・・・マジなのかよ」
酷い脱力感に襲われる。
「で、どうしたの?喧嘩でもした?」
興味本位ではない。
鳳は俺が悩むとすぐ、こうやって心配してくれているから。
俺はゆっくりと口を開いた。