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□コーヒー・シュガー
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「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・え?」
「遅っ」
え、いや、あ・・・?
なに、したんだ・・・?
「あ、忍足さん、連れてきたよー!」
声の方に視線を向けると鳳が忍足さんの手を引き、こちらに走ってくる。
「タイムオーバー。・・・やな」
「えっ・・・・・」
小さく声を上げる。
今度は頭に財前の手が触れた。
「またな・・・若」
小さく呟くと、財前は忍足さんの方へと歩いて行く。
入れ違いに鳳が俺の方へとやって来る。
「・・・日吉?どうしたの?顔、真っ赤」
「・・・・・っ、なんでもないっ!」
「え、ちょ、日吉!?」
顔が赤いのは寒いせい。
教えてもない名前を呼ばれて、顔が熱くなったのはこのココアのせい。
全部、全部、この寒さとココアのせいだ。
けど、一つだけ・・・
「・・・苦ぇよ」
唇に残る感触と、香りと、味は・・・・
ごまかす事が出来なかった。
─END─
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