合縁奇縁
□06.5
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門田side
………あー、くそっ!!
何であんなシーン見なくちゃいけねぇんだ。
俺はイライラしていた。
原因は先程の静雄とあかのじゃれ合いだ。
好きな女が、他の男と楽しそうにしているのを見るのは不愉快だ。
俺は、今さらだがあかが好きだ。
だが、あかを静雄から奪って俺のモノにしようという思いはない。
本当は俺のモノにしたいが、果たしてそれがあかの幸せなのかと考えると答えはノーだ。
今、アイツは静雄の隣で笑っている。
アイツ自身にとっての静雄は、今はまだただの同居人かもしれない。
しかし、それはいつか、きっと“異性”として見るようになるだろう。
そんな気がしてならない。
それは、静雄も同じことだろう。
静雄は、自分を怖がらず近寄ってくるあかに心を開きかけている。
そして、あかも少なからず心を開いていることだろう。
そう、自分は2人にとって邪魔になり得る存在だ。
早いところ諦めて見守るのが得策か、諦めずに静雄から奪うか。
どちらかと言えば、きっと俺は見守る方を選ぶだろう。
今すぐは無理でも、いつかきっと。
惚れた女に幸せになってほしい、それが俺の願いだ。
横から奪うなんて、不粋にも程があんだろ?
ただし、静雄が幸せにしてやれねぇようだったら、俺は容赦しないぜ。
覚悟しとけよ。