合縁奇縁
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「オー、シズオ!!
寿司食うイイヨ。」
「おー、サイモン。
個室空いてっか?」
「5名様ゴアンナイするヨー。」
露西亜寿司に着くと、店の前でちょうど客引きを行っていたサイモンが静雄さんに話し掛けてきた。
静雄さんは、話が微妙にずれていることを気にする様子もなく、店の中に進んでいったので、私もついて入った。
「ねぇー、何であかちゃんはシズシズと暮らす事になったの?」
「えっと、お母さんが単身赴任中のお父さんと暮らすことになったんです。
でも、私はこの地に残りたかったので、静雄さんのところでお世話になることにしたんです。」
席に座ったとたんに、質問を投げ掛けてきた狩沢さんに私は簡単に答えた。
「そうなんだぁ。
シズシズは、その事納得してるのー?」
「そうだな。
どうせ、遅かれ早かれって感じだったからよぉ。」
「え!?
どういうことっすか、静雄さん!!」
「もともとは、あかが高校卒業したら一緒に暮らす事になってたんだよ。」
「えっ!?
私、そんなの聞かされてなかったですよ!?」
私は、静雄さんのカミングアウトにビックリした。
この事には、門田さんたちも固まっている。
「ま、親同士が勝手に決めた婚約だしな。」
「こ、婚約ぅ!?」
「狩沢さん、狩沢さん!!
今時こんなドリーマーで古風な2次元並の展開があるんすね!!」
「そうだね、ゆまっち!!
シズシズがあかちゃんとあーんなことや、こーんなことを………ムフフフッ!!」
婚約の言葉にいち早く反応した狩沢さんは、自分の妄想ワールドに入ってしまって、怪しい笑みを溢している。
「おい、狩沢。
いい加減にしろ。」
“静雄がキレるぞ”と静雄さんに聞こえないように狩沢さんに教えている門田さんは、すごいと思う。
実際、静雄さんの額にはうっすらと血管が浮いて見えている。
「し、静雄さん。
これ、美味しいですよ!!」
「おう、そうか。
よかったな。」
静雄さんに話し掛けると、静雄さんはクシャクシャとまた頭を撫でてくれた。
「わっ、やめてくださいよー!!
髪グシャグシャじゃないですか!!」
そう私が言うと、静雄さんはもっと頭を撫でてきて、私はキャーキャー笑いながら静雄さんとじゃれていた。