合縁奇縁
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「ねぇ、あか?
お母さん、お父さんと一緒に暮らそうと思うの。」
それは突然だった。
単身赴任で1人頑張っているお父さんのところにお母さんが行きたいと言い出したのは。
今まで、何となくそうなんじゃないかと思ったことはあったけど、そんな事を言わなかったから私が我慢させてると思った。
「そうなんだ。
私はどうすればいい?」
「せっかくお友達も出来て学校に馴染めてきたんでしょう?
だから、そんなあかに提案があるの。」
「何?」
「同棲、してみない?」
「ど、同棲?
前に話してた婚約してるって言う人と?」
「そうよ。
同じ池袋に住んでいるし、ここよりも学校から近いの。
年は少し離れているけど、優しいからきっと大切にしてくれるわ。」
私はまだ、その婚約者とは会ったことがない。
ハッキリ言うと、はじめて会う人と暮らすなんて考えられない。
でも、お母さんはお父さんの所に行きたいだろうし、私はこの地に残りたい。
そうなると選択肢は1つ。
「わかった。
その人と暮らしてみるよ。」
こうして、私の生活が想像を越えるものになっていった。