短編

□たまには羽根を休めて
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「ユキ、明日の任務が終わったら会いに行ってもいい?」


そう聞いたのは、もうすでに昨日の事。


ユキと同じ中一級祓魔師の私は、任務で学校を離れる事が多い。


そして、ユキも学校や任務、先生の仕事があったりするから私たちは一ヶ月以上会ってなかったりする。


……根詰めすぎてないといいけど。


「久しぶり。」


ユキの部屋に入ると、ユキと同じ部屋で暮らしている筈の燐がいなかった。


「あれ?
燐は?」


「兄さんなら今日は帰ってこないよ。
それより、珍しいね。
あかが来るなんて。」


「だって、前のデートから一ヶ月以上も経ってるんだよ?」


私がそんな事を言っていると、ユキは“もうそんなに経つのか”と言っていた。


「今日も、どこかに出かける?」


「今日はゆっくりしようよ。
燐だって帰ってこないんでしょ?
だったら、お泊りしようかな。
いいでしょ?」


「ホントは駄目なんだけど、まぁいいか。
僕も一緒に居たいし。」


「やった。」


いつもは考えが固いユキが、珍しく簡単に許してくれた事にビックリした。


それから私たちは、今までの他愛のない話をたくさんした。


それこそ、話題がすぐになくなるんじゃないかと言うぐらいの勢いで。


そうこうしていると、だんだんユキの瞼が下がってきて、眠たそうな顔になってきた。


「ユキ、少し寝る?
疲れてるんでしょ。」


「いや、起きてる。」


「私の事はいいから。
ユキが寝てても起きてても、一緒に居られる事が幸せなんだから。
無理しないで。」


そう私がユキに言うと、ユキは私の肩に凭れかかって寝てしまった。


……相当、疲れてたんだなぁ。


私は、凭れかかっているユキを少しでも寝やすいようにと、ゆっくり動かして膝枕の状態にしてあげた。


これで、貴方が少しでも楽になれますように。


たまには羽を休めて


(ホントはもっと心配事が減ったほうがいいんだけど……)

(きっと無理だろうな。
相手は燐だし。)
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