短編
□傘に隠れて
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雨は嫌い。
テンションが下がる。
もともと、雨は好きじゃなかった。
ジメジメするし、外に出ると濡れるし。
だけど、たった今“好きじゃない”から“嫌い”になった。
目の前で仲良く相合い傘をして、街中を歩く男女。
「……志摩……。」
楽しそうに笑っている彼に、私の声は聞こえてない。
私の好きな彼には……
彼が女好きなのも知ってた。
いつか、こうなることも分かっていた。
なのに、何でこんなにも悲しいんだろう?
自分が行動を起こせなかっただけなのに……
自分がもし行動を起こせたら、今彼の隣に私の居場所はあったのかな…?
傘に隠れて
(私は、傘に隠れて見てるだけしか出来ない。)