ペテン師の夜

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「ただいまー。」


しばらく柔造さんと話をしていると、玄関のほうから聞きなれた声が聞こえてきた。


「にゃーん。」


「あ、こら!!
シロ!!」


その声に反応してか、今日たまたま連れてきていた私の使い魔のシロが玄関目掛けて走っていってしまった。


「元気な猫又やなぁ。」


「すみません。
どうも、廉造くんがお気に入りみたいで。」


「いやいや、おとなしいよりも活発なほうが元気があってええわ。」


柔造さんはニコッと笑っている。


「柔兄、帰ったで〜。
あ、あかちゃんやっぱり来とったんやなぁ。」


志摩はシロを抱えて私たちの居る部屋に入ってきた。


「廉造、池田さんやけどなぁ。
こっちに居る間は、ウチに滞在する事になったんや。」


「そうなん!?
あかちゃん、一回もそんなん言わんかったやん!!」


「私、言ったよ?
友達の家に泊まるって。
ここ、友達の家じゃん。」


「そやったわ。」


私と志摩がそう話していると、隣で柔造さんが笑っていた。


「柔兄、あかちゃんの部屋はどうしたん?」


「金造とお前の間の空き部屋やったとこや。」


「えぇー。」


「なんや?
不満でもあるんか?」


何故か批判する志摩に対して、柔造さんは不思議そうにしていた。


「なんであかちゃん俺の部屋とちゃうん!?」


「アホか。
お前みたいなドスケベと同室に出来るか!!」


「せやかて俺、学園の寮は一緒の部屋やで!!」


「ほんな訳あるか!!
池田さんは女やぞ!!」


いつの間にか始まってしまった兄弟喧嘩は終わる気配を見せず、むしろヒートアップしている。
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