ペテン師の夜

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「ちょぉ、何で言うてくれんかったん?
俺、教室でほんにビックリしたわ。」


「だって、先に話したら面白くないでしょ?」


「確かにそうなんやけどなぁ。」


志摩は寮に帰ってきてから、ずっとベットの上でゴロゴロしながら話しかけてくる。


「そんなことより、明日の準備したの?」


「まだや。」


どうどう言う志摩に私は少し呆れた。


「早くしておきなよ?
直前で焦ったって私は手伝わないから。」


「おん。」


「んじゃ、私は出かけてくるから。」


私も明日の準備をするために部屋を出ようとした。


「ちょぉ、待ち!!
どこ行くん?」


「道具部屋だけど。」


そう私が言うと、志摩は目をキラキラさせて連れて行けと無言で訴えてきた。


「………はぁ。
部屋のもの勝手に触らないって約束できる?」


「おん!!」


「しょうがないなぁ……」


私は、志摩を連れて道具部屋に行く事になった。


「へぇ〜、すごいなぁ。
こんなところに荷物隠してたんや。」


「まぁね。」


寮の扉から鍵を使ってやってきた私たち。


志摩は部屋に入ってから、ずっと見渡している。


そんな志摩を私は無視して、明日からの用意を着々と進める。


「この部屋、色んな武器とか置いてはるけど、あかちゃんは何の称号持ってるん?」


「全部。
でも、苦手のもあるんだけどね。」


「全部っ!?」


「うん。
あ、でも竜騎士は最近取ったんだ。
それが一番苦手だから、取るのに時間掛かっちゃって………。」


「それでもすごいわ。
俺だったら、死んでも出来んわ。」


志摩は私の事をすごいとほめてくれて、それがなんだか照れくさくて、私は何をしゃべっていいか分からなくなった。


「あ、志摩くん。
ちょっと後ろ向いてて。」


「おん。」


ちょうど、荷物を用意していると志摩にはあまり見せたくない物を出さなくてはいけなくなった。


泊まりで任務に行くとなったら必ず必要なのは着替えと言うわけで、そうなると必然的に下着も用意しないといけない。


でも、それを女好きの志摩に見せるのは危険。


ま、志摩だけじゃなく男に見せる訳にはいかないので後ろを向いて貰ったという訳だ。


素直に向いてくれたと言う事に若干、不安もあるが……。


「そうそう。
順番、決まったの?」


「一番が俺、二番が坊、三番が子猫さんや。」


「珍しい。
勝呂くんが一番じゃないんだね。」


「おん。
最初はそうなる予定やったんやけど、坊がそんなんおかしいって言い出して、じゃんけんしたんや。」


「そうなんだ。」


私がそっけなくそう答えると、何かもっと言う事あるんちゃう!?と志摩が煩くなった。
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