ペテン師の夜

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私が候補生とともに任務に行くと言うことが発覚してから、志摩はずっとソワソワしている。


それは今もで、奥村先生の授業をまともに聞いていない。


「以上で、今日の授業を終わります。
次の時間ですが、明日からの三泊四日の訓練についての説明会となります。
今から言う教室に、入って下さい。
奥村くんは鍛練場。
杜山さん、神木さん、宝くんはこの教室。
池田くんは理事長室。
勝呂くん、志摩くん、三輪くんは隣の教室。
以上です。」


必要なことを言うと奥村先生は教室を出ていった。


「志摩、俺迷いそうだから先に行くな。
またあとで。」


「おん、またあとでなぁ。」


隣に座っていた、志摩に一言言って教室を出た。


……次の授業は、私が先生をしなくちゃ。


急がないと。


私は、道具部屋に入ってカツラだけさっとつけて必要な書類を持って出た。


「お待たせしました。
授業を始めます。」


教室に入ったときには五分程時間を過ぎていた。


「今回の訓練は、先生方が少し人手不足な為、教師ではありませんが、私池田あかが引率致します。」


ビックリして、目を見開いている三人にニコリと微笑んで見ると、三人は我に返ったのか真剣な顔付きに戻った。


「まずは、このプリントを見てください。
必要なことはだいたい書いてあります。
まずは任務地ですが、京都出張所周囲になります。
宿泊先は、皆さんのご実家です。」


「先生は何処に泊まらはるんですか?」


「私は、友人の家に泊めてもらいます。
フェレス卿が彼のご家族に頼んでくれたそうですから。」


「彼っ!?
先生、男友達の家に泊まらはるんですか!?」


この“彼”という言葉に一番に反応したのは予想通り志摩で、坊のご実家に泊めてもらはったらええやんっと騒いでいる。


それは勝呂も同じようで、そんな簡単に男の家に泊まったらアカンやないですかと言っている。


「まぁ、そこは置いておいて次の説明に入ります。
三人同時に面倒は見れないので、順番を決めてください。
一人ずつ任務に連れていきます。」


「先生、ほな残った二人はどないするんですか?」


「残った二人は、出張所で書類整理の手伝いや、医工騎士の手伝いをしてもらいます。」


そう言うと三人は納得していた。


「それから、明日の朝7時半に男子寮前集合です。
時間厳守でお願いします。
あと、志摩くん。
私の携帯番号、知ってますよね?」


「そうですけど、それがどないかしましたか?」


私が聞くとすごく不思議そうな顔をしていた。


「勝呂くんと三輪くんに教えておいてください。
緊急時の連絡先です。
では、解散。」


これで、私の初授業は終わることにした。
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