ペテン師の夜
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志摩とデートであっちこっちと歩いていると、仕事用の携帯がなった。
「…………。」
「携帯、出んでええの?」
携帯を見てみると、相手はフェレス卿で嫌な予感しかしてこなかった。
「フェレス卿からだから、あんまり出たくない。」
「せやけど、大事なようだったらどないするん?」
「だよね…………はぁ…。」
私はしぶしぶ電話に出た。
「はい、池田です。」
《おや?
機嫌があまりよろしくないようですねぇ、あか。》
「まぁ、いろいろありまして。」
《そんな貴女に任務です☆
日時は明後日から三泊四日。
出来れば、一度部屋に来ていただきたいのですが。》
「わかりました。
では、今日の夜お伺いします。」
《では、お待ちしていますよ。》
………珍しいな。
任務までに一回来いなんて。
しかも、期間が少し長い。
「……はぁ。」
少し先が思いやられてしまった。
「どうやった?
すぐに任務行くん?」
「大丈夫。
任務は今日じゃ無いみたい。」
「よかったぁ!!
デート中止になるか思うて内心ヒヤヒヤしたわ。」
そっと胸を撫で下ろす仕草をする志摩を少し見ていると笑いが出た。