ペテン師の夜

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志摩side


ゴロゴロッ


あぁ、雷鳴り出したんか。


はじめは、ただそんだけしか思ってなかった。


そのあと、ピカッと光って物凄い音の雷が鳴った。


“イヤァァァァァァァッ!!”


浴室の外、つまり俺らの部屋から悲鳴が聞こえてきた。


悲鳴を出した声の主は、もちろんこの部屋のもう一人の住人しかおらん。


「池田くん!?」


俺が服も着ずに部屋に出ると、池田くんはギュッと抱きついてきた。


「……お父さん………お母さん………」


「ちょ、池田くん。
どないしたんや?」


「………金ちゃん、怖いよぉ……」 


俺の事を、誰かと間違えながら雷に怯える姿を見ると、とりあえず慰めてみるしかないと思った。


「大丈夫や、心配せんでももうすぐおさまる。
もう少しの辛抱や。」


「……うん。
ありがと、金ちゃん。」


しばらく泣き叫んだ後、池田くんは穏やかな顔をして眠ってしまった。


………金ちゃんって、誰なんやろ??


って言うか、池田くんってホンマに何者??


さっき抱き付かれたとき、男にはない胸の柔さがあったで!!


これは大問題や。


「志摩、さっきの声は何事や?
俺らの部屋まで聞こえてきたで。」


「あぁ、坊。子猫さんも。
池田くんが雷で泣き叫んでしもうて、多分その声やと思います。」


ノックに後に入ってきた二人は、心配そうな顔をしていた。


「きっと、トラウマなんやろね。」


「せやね。
あ、俺まだ服着てないんやった。」


「何しとんねん。
はよ着てこい。」


慌てて出てきたものだったから、俺は腰にタオルを巻いているだけの姿やった。


俺は坊に言われた通りに、さっさと服を着て部屋に戻った。
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