ペテン師の夜
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今日は、一段と天気が悪い。
どす黒い入道雲が空をプカプカ浮いている。
雨はまだ降っていないが、今にも降りそうだ。
「………嫌な天気だなぁ。」
空には星が輝いていて、その上を雲が覆っている。
同室の志摩は、現在入浴中。
先ほど、実践訓練から帰ってきてそのままお風呂に直行したのだ。
ゴロゴロッ
「ひっ!!」
どこか遠くで雷が鳴った。
それと同時に、背筋か凍っていくのが分かった。
…………ヤバい。
直感的に分かる。
私は雷が嫌いどころか、トラウマだ。
昔、大好きだったお母さんやお父さんが雷の鳴っている最中に殺された。
私の目の前で、誰だって目を背けてしまうくらいに無惨にも切り刻まれて。
それ以来、雷が鳴ったり光ったりするといつも記憶がない。
回りにいた人たちがただ共通して言うのは、“泣き叫んでいる”と言うこと。
「にゃーん。」
「シロッ!!
怖いよぉ……」
たまたま、心配そうによってきてくれたシロを抱き締める。
………早く、どっかに雷が行けば良いのに……。
そんな願いもむなしく、雷は容赦なかった。