ペテン師の夜
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あの電話の後、少し急いで帰ってきた私が見た光景は、実に笑えるものだった。
「何やってんだ?」
「池田くん、はよそれ始末して!!
話はそれからやっ!!」
私が部屋に入ると、冷や汗をダラダラ流しながら床に居るゴキブリを睨んでいる志摩がいた。
パンッ!!
一瞬で私はそのゴキブリを仕留めて、ゴミ箱に捨てた。
すると、志摩が今までに無かったくらいの速さでそのゴミ箱に向かい、ゴキブリの入っている袋の口を閉じてさらにその上からもう一枚袋を被せて二重に縛った。
「おい志摩、ゴミ袋勿体ねーだろ?
なにやってんだ。」
「だって、完璧に死んでなかったら、アイツがこの袋から出てくるかも知れませんやん!!」
“そんなの勘弁や”と志摩は泣きそうになっている。
「つーか、なんだよ。
こんなゴキブリごときで騒いで。」
「ゴキブリごときってなんですか!?
もしゴキブリが大群で襲ってきたら………
あーっ、そんなん嫌や!!」
「分かったから、少しは静かにしろよ。」
私は、煩い志摩をゴミ出しに行かし今日買ってきた品物を片付けることにした。
(なぁー、勝呂。
ゴキブリ如きに志摩、ものすごく騒いでたんだけど、アレいつもか?)
(あぁ。
ゴキブリだけやない。
虫全般的にあの調子や。)
(まじでか。)