ペテン師の夜

□03
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「池田サン、貴方は入院中に独学で勉強していたそうでごザーマスのネ?」


この授業の担任は、個性的だなぁ…。


「はい。
姉の教科書を借りてしていました。」


「この授業は、聖書・教典暗唱術でごザーマス!
致死説の説明をお願いするでごザーマス。」


「はい。
致死説とは、死の理……つまり、悪魔が必ず死に至る言や文節のことです。
それを掌握し、詠唱するプロが詠唱騎士です。」


「すばらしいでごザーマスよ。
では、“詩篇の第三〇篇”を暗唱お願いするでごザーマス。」


「はい。

“…・・・神よ
我汝をあがめん
汝我をおこして
我が仇の我ことによりて

喜ぶをゆるし給わざればなり

我が神よ
我汝によばわれば
汝我をいやし給えり

神よ汝我が魂を陰府より救い
我をながらえしめて
墓に下らせ給わざりき

神の聖徒よ
神をほめうたえ
清き名に感謝せよ

……その怒は
ただしばしにて
その恵は命とともに流し

……我
ひたすら
神に願えり

我墓に下らば
我が血なにの
益あらん

塵は
……黙すこと
なからんためなり

我が神よ
我永遠に
汝に感謝せん”」


暗唱を終わらせると、前のほうに座っていた奥村燐と杜山しえみがキラキラした目でこっちを見ていた。


横を見ると、志摩が口をあんぐり開けて放心状態になっている。


……どうしたんだろう?


































(池田くんも坊とおんなじ部類なんやな……)

(アイツ、すっげぇー!!)
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