企画

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「まぁ・・・そういう訳だから、」


適当に笑ってごまかしながら
私はその場を濁す。
私はもう勝呂の彼女でも無いから、
関係ないことだ。
だから言いたく無かったのに。
何も言わないで、後日適当にプレゼントでも渡せばそれで終わりだったのに。


「じゃあ、私帰るねっ」

「っ、ちょお、蘭!!」


勝呂の顔を見てるうちに段々泣きそうになってくる。
もう恋人じゃないことを、実感するから。

踵を返して一人さっさとケーキの片付けに戻ろうとした。




「っ!?、う、わっっ!!」


がくんと衝撃があって
こけるのかと思ったら、
それは勝呂に腕を掴まれた衝撃らしい。

正直名前を呼ぶのも気が引けるが、
私は唇を開いて
小さな声を漏らす。


「あ、の勝呂・・・」

「・・・、堪忍」

「え、あ・・・・・・はい?」


トサカが軽く頭を下げた。
後ろで燐が土下座しろっと叫ぶのに対して勝呂は
やかましいわっと叫び返す。


突然謝られて
私はどうすればいいのかと困惑する。
とりあえず、
勝呂のトサカを撫でてみた。


「・・・なんしとんねん」

「いや、まぁあの目の前にあったから・・・なんとなく」


わしわしと撫でていると
勝呂が私の手を頭から退けて顔をあげる。
勝呂は、怒られた子供みたいな顔をして、
しゅんと頭を垂れていて。


「あの、私こそごめん」


私が結果招いたことだ。
それに関しては悪いと思っているので素直に謝った。


「これからは、友達として
仲良くしてやってください」


自分で言っといて泣きそうになるなんて、情けない、
泣きそうな顔を見せたくないので
私は少し俯き加減にそう言った。




「・・・何言うとん」

「は?」

「は?え、俺ら別れとんのんか?」


勝呂がすごくとんちんかんなことを言い出しました。

私はたまらず顔を上げ
お互いに素っ頓狂な声をあげた。いやいや、自分から言った癖してそれは酷いじゃないか。


「だって、俺ら合わへんー、って言ったの自分じゃんっ」


私の言葉に
負けじと困惑した顔と素っ頓狂な声を出す勝呂。


「あれは、そういう意味ちゃうやろ!?」

「いやいやいやっ!!
私普通に振られてるもんだと思ったけど!?
合わないってそういうことでしょ!!」

「ちゃうわボケっ!!
別れるならちゃんと別れる言うやろが!!」

「知らないよそんな常識っ!!」


勝呂が今までどんな付き合い方、別れ方をしたかなんか微塵もしらないし興味もない。
けどまさかあれは別れる意味じゃないと言われ
私もえー・・・と声を出す。

だって、そう思ったんだもの。


「第一俺がなんでお前と別れなあかんねんっ!!」

「え、だって軽い女って言ってたし・・・」

「弾みでってことも考えろやっ!!」

「えっ!?嘘!!
私が悪いの!?」

「自分が惚れてる奴と付き合っとんのに、わざわざ別れる阿呆がおるかっ!!」


勝呂くん、今貴方はすごく恥ずかしい台詞を言ってることに気づいていますか?


惚れてる、と言われ
徐々に顔が熱くなる。
恥ずかしい、流石にこれは。
何プレイ?

勝呂も言って理解したのか
耳まで赤く染めている。


「お互い難儀なカップルやなぁ」

「見ていて恥ずかしくなりますね
公然だということを理解して頂きたいものです」


しかもギャラリーは最悪。
心ない野次を飛ばして来る奴らに向かって
勝呂は睨みつける。
迫力があんまり感じれないのはどうしてかな。


「んじゃあ後はお前ら適当にやれよなっ
また騒ぎ起こすなよ!!」


馬鹿燐。
一番に騒ぎを起こしたのはお前だよ。
燐の後に付いていくように雪男と志摩もさっさとその場を後にする。


取り残された私達は沈黙を守るようにお互いに口を閉ざしたまま。


「あー・・・どうしよっか」

「どうするも何も・・・
俺に聞くなや・・・」


なんとか沈黙を消そうと思って、
私は口を開く。
勝呂も困ったように頬を掻いている。



「とりあえず、さ」













お祝いしようか
(貴方の誕生日)












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