shortDREAM

□貴方の一面
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どういうことだ。
どういう状況だろうか。


「や、やゃっ
ちょ、竜士くん?」


暑い、男子寮室。
ここは竜士くん達の部屋なわけで、
私は今日宿題を教えてもらいに来た。

来たんだけど・・・。



なんで、竜士くんが上に乗ってるの!?

所謂これは
押し倒されてる、のかな?


「竜士、くん?
どうしたの・・・?」

「・・・椿」


いつもの、竜士くんと違うっ

熱に浮されたみたいな、熱い吐息を感じて、
私は体が強張るのを感じた。


「・・・、椿」


りゅ、とだけ言うと、
竜士くんが唇を重ねてきた。
竜士くんの熱い唇、
舌が口の中を舐める。


「っ!?、ひゅっ、ひ・・・!!」


手首を押さえられ抵抗出来なくて、
息も苦しい。

竜士くんがゆっくり唇を離すと、糸が光って、私と竜士くんを繋げる。


「竜士くん、どっしたの?
いっ、いつもと違うよ??
勉強、しなくていいのっ??」

「そんなん、後でええ」


珍しい。
竜士くんが勉強を二の次にするなんてっ

竜士くんは私の手を解放すると
今度は首に顔を埋めてきた。


「ーーっ!?」


ぺろりと首を舐められて、
声にならない悲鳴があがる。
小さく痛みが走って、竜士くんの熱い息が耳にかかる。

誰か来てほしい。
けどこの状況を見られるのも辛い。


「や、ぁっ・・・竜士、くっ」


自分の物とは思えないほど
随分甘ったるい声が出た。

恥ずかしいし、この状況じゃ
まさか次までするんじゃないだろうか、という考えが過ぎる。


「椿、・・・」


囁かれる声も色っぽくて、頭が溶けてしまいそうになる。
流されちゃダメだっ、と思っても
思うようにいかない。


「好きや」

「あ、ぇっ・・・??」

「椿が好きや」


いつもじゃ、恥ずかしがって絶対言ってくれない言葉を
さらりと言ってくる。

嬉しい、けど
私が恥ずかしいよっ!


「あ、りがとう・・・」

「椿は」


竜士くんが私を抱きしめる。
照れながらもお礼を言えば
竜士くんは腕に力を込め、そう聞いてきた。


「す、き・・・だよ」


ぎこちなく言うと、一気に顔が熱くなる。
いつもなら、私が比較的言ってる方なのに・・・。


おん、と呟く声が聞こえる。
扇風機が私たちを仰ぐけど、全然涼しくない。
むしろ熱くて死にそうだ。

恥ずかしくて。


「竜、じくん・・・?
本当に、どうしたの・・・?」

「・・・」

「竜士くん・・・?」


答えてくれない竜士くんに、寝てるんじゃないかと顔をちらりと見ると、そうではないらしい。


「・・・椿が足りんのや」

「・・・へっ?」

「椿とおりたい
それやったら、あかんのか」


すごく、珍しい。
これが噂に聞くデレ期なのかな。


竜士くんは少し腕を緩めて、
私の顔を除きこむ。
そしてまたキスをしてきた。


今度は、啄むみたいなキスで
何度も小さな音を立てながら、
唇が触れたり離れたりする。

私は、ちょっとだけ竜士くんを抱きしめると、
竜士くんは私の目を見つめる。


「私は、竜士くんの
側にいるよ・・・?」


そういうと、さっきまでの竜士くんはどこへやら。
顔を真っ赤に染めて、顔を隠すみたいに私を抱きしめた。


「・・・、堪忍」

「う、うんっ平気!!
ちょっとびっくりしたけど」


いつもの竜士くんだ。
そう思うと頬が緩んで、私は竜士くんを抱きしめ返す。


それでも、竜士くんは
さっきまでの名残でか、
私をぎゅうと抱きしめたまま、
もう一度
「好きや」と耳元で呟く。

「私も好き」と返してあげれば
耳が真っ赤になっていくので
いつも通り可愛いなぁ、
と心の中で私は呟く。



竜士くんの
予想外の一面を知れて、
少しだけ嬉しかったなんて
口が裂けても言えないけど。





貴方の一面
(にドキドキしたり愛しくなったり)






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