shortDREAM

□君の全てが大好きです
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キラキラしてる金造が、私は好きだ。


例えば、ライブの時
たくさんのお客さんの前で歌ってる時。
かっこよくて、とても輝いてて、
私と目が合うとすごく優しい目で笑ってくれる。


あぁ、私特別なんだなー・・・とちょっと自惚れたり出来る。


金造の歌声が耳に響いて、
まるで鼓膜から侵されたみたいに私はふらっとする。

その声は人を幸せに出来るんだなぁ、と。


ライブが終わって、お客さんも皆帰ってる時に
私がお客さん達の顔を見たら、
すごくキラキラしてて、
金造がこの笑顔を作ったんだ、と思うと
金造のことなのについつい嬉しくなってしまうのだ。


結論、私は金造が大好きなのだ。


私は、誰も居なくなった席に戻る。
さっきまで賑やかだったのが嘘みたいに静かだった。


「椿!!」


ホールみたいに広い訳ではないけれど、
室内に声が響く。

あの、人を幸せに出来る素敵な声だ。


「金造」


私は笑いながら、ステージの方へ歩いていく。
室内を照らす静かなライトが
ステージの上に立つ金造の綺麗な金髪を
キラキラと輝かせていて、
その眩しさに少し目を細めた。


「今日もすごかったよ」

「当たり前やろ?
俺のバンドやねんから」

「ふふっ、そうだね!」


そうは言っても、本人も今日のライブの出来は大満足のようで
凄く嬉しそうに笑っている。


「なぁ、ステージ上がれや」

「え?・・・いいのかな?」

「構わん構わん
はよ、手」


金造はそう言うと、
私に手を差し出す。
脇の階段から上ればいいのに。


私が金造の手を取ると、強い力で私を引っ張りあげる。

びっくりして、金造に抱き着く形になってしまった。


「き、金造っ!!
びっくりするじゃないっ」


金造はしれっとした表情だ。
こういうところは子供みたい。
けど、意地悪く笑う顔も無邪気にキラキラしている。


「金造、カッコイイね」


小さく笑って言うと、金造が顔を背ける。
照れてるのが、染まった頬を見れば一目瞭然で、


「金造可愛い」


なんて、言ってみると
金造は私の口を塞ぐ。唇で。
軽く、触れるだけのキス。


「・・・椿のが可愛いやろ阿呆」

「ふふっ、ありがとう」


金造が、私をぎゅーと抱きしめる。


さらさら光る、綺麗な髪が頬をくすぐる。
汗と、金造の優しい匂い。


「私、金造の恋人なんだね」

「今更何言うとんねん」

「いつもね、ライブに来たら思うんだよ
私はこの人達の中でも
金造の特別なんだなって」

「当たり前やん」


優しい金造の声。


「私、金造の声
すごく好きだよ」


もちろん金造も好きだよ。
と言えば金造が私から少し体を離してデコピンをした。


「いたいよー・・・」

「・・・お前はいつもズルイねん」


俺にも、ええ格好させろや、と拗ねたように言われる。
自分よりも大きな背で、キラキラ輝いてて、カッコイイ私の恋人。


「金造の声もっと聞かせて」


その人を、私を幸せにする声で。


キラキラ輝いてる金造が、私は大好きだ。

例えば、今みたいに
私にだけ見せてくれる
可愛く微笑んだ顔も

キラキラしてる、その髪も。









君の全てが大好きです
(輝く貴方はかっこいい)





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