shortDREAM

□イマナニシテル?
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部屋でわこわこと音がする。
音の発信源は、目の前の女の子。

の携帯。


「・・・なーなんしてんのー?」

「Twitter」

「いや、分かっとるけど」


俺に目もくれず、
両手で包むように携帯をもってボタンを押す。
液晶とにらめっこなう。

折角の休みやから部屋呼んでのんびりしようとか思っとったんに、いやいや別にやらしいことは考えてないで?
椿はさっきからずっとこの調子や。


「暇ー」

「漫画読んだら?」

「もう全部読んだ奴とかしかないもん」

「じゃぁ勉強」

「椿も勉強するんやったらする!!」

「私もう昨日終わらせちゃった」


その際もずーっと携帯と見つめ合いながら俺に返事をする。
つい最近始めたTwitterにすっかりハマったみたいで
俺はずっと放置プレイ。
そら奨めたんは俺やけど、ってこれ完璧に自業自得やん。

俺も一応Twitterはしとった。
けどほっとんどせんし椿が始めたのと同時期ぐらいに退会。
俺が始めたんは金兄がやっとったからやし。


「・・・なぁ、暇ー」

「んー」

「聞いとる!?」

「んー」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「ちゅーしてもえぇ?」

「んー」


なんやろこのあしらわれてるというか疎外感というか。

まぁ返事は貰ったわけやし、
俺は椿に近づいて
白い頬に軽くキスしたった。


「っ!!、わっわっ!!ちょ!!」


椿はびっくりした様子で、
慌てて携帯を閉じる。
ばっと俺の方を向いたと思ったら「見た?」としきりに聞いてきた。
いやいや怪しすぎるやん。


「ちょお、携帯貸してみ」

「やっやだ!!
ねぇ見たの!?見てないの!?」

「ちらっと見えた気するー」

「っ!!、やっ馬鹿馬鹿!!
ちょっ本当ダメっ!!」


焦りすぎやし挙動不審。
Twitterで男と話でもしてるんやろか。

俺の腕の中に椿を抱え込むような態勢で
椿の腕を掴む。
必死に嫌々と言うてるけど、男女の差って素敵やなぁ
簡単にピンク色の携帯を取ることが出来た。


「いやっ、お願いやめて!!
ごめんってば謝るからぁ!!」


身長差16、7cmくらいの俺と椿。
立って腕を伸ばせば跳んでも跳ねても椿は携帯にかすりもせん。
かいらしいなぁ。


「俺を無視する椿が悪い」

「あっや、!!開けちゃダメ!!」


ぱか、と携帯の開ければ液晶が発光する。
慌てて閉じたもんやから画面がそのままや。
過去に見慣れたTwitterの画面。

3分程前に呟かれた文字が目に入って、俺はそれを口に出して読んだ。


「・・・[彼氏と部屋デートなう]・・・」

「いやぁぁぁぁっ!!」


恥ずい。
猛烈に恥ずかしい。

けどそれ以上に恥ずかしいのは椿のはずで、
顔を手で隠しながらしゃがんでしもた。

わこわことスクロールさせながら過去の呟きを見れば、
「彼氏が別の子と話してる」、とか
「デートなう!!」、とか
彼氏、つまり俺のことが大量書かれとる。


ぱちん、と携帯を閉じた。
椿は泣いとらんけど、屈んで恥ずかしさから小刻みに震えてる。


「椿」

「もぉ、・・・っれんぞ嫌いっ!!」

「堪忍なぁ」


怒られてるはずやのについつい顔が緩む。

せやから椿はTwitterを公開してへんかったんや。


「今なら死ねる・・・死にたい恥ずかしい」

「俺のことめっちゃ呟いてるやん」

「・・・事実だもん」

「可愛すぎるやろーっ!!」


ハムスターみたいに丸まってる椿をぎゅーっと抱きしめて、一応謝りながら携帯を返す。


「なぁなぁ」

「・・・なにっ」

「今なにしてるん?」


にっこりとご機嫌に椿の耳元で聞く。
しばらく間があってから、
俺の腰に抱き着きながら


「廉造と、イチャイチャなう」


と呟かれた。
もっかいTwitter登録しよかなと椿に聞いたら
「私が出来なくなるから駄目」だそうで。

あぁもう本間に
可愛らしすぎて、死んでまう。








イマナニシテル?
(彼女が可愛すぎるなう)









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