−天界−


真っ白な部屋の向こう、
何かを書いているヒトがいる。

彼の名前は”イーノック”
天界の書記官。

そう、ここは天界


天使などのアストラル体が集まる場所。

実体を持っている者はいない。


その中で、唯一生身で来たのがイーノック・・・彼だ。

彼は清く純粋な心の持ち主で、神に気に入られ天界に召された。

その隣には、黒い召し物に染め上げられたヒト・・・

あぁ・・・この者は、ヒトでなく

大天使長のルシフェルである。

彼は大天使であるが
ヒトの姿をしている。

この姿は、キミの見る思念か・・・

誰かが望んで実体化した姿に過ぎない。


ただ、彼は天使なので

本当はそこに姿はない。

今で言う幽霊。

ただの魂だけ。



ルシフェルはイーノックのサポート役として働く。


ル「イーノック、神からの知らせだ。新しくヒトの子がくるらしい。

ルシフェルは言う。

イ「ヒト・・・?」
ル「あぁ、お前はヒトに会うのは久しぶりだろ。」

イーノックは長い時間、天界に住んでいる為
地上界に帰ることは、ほとんどない。

だから、今回 ヒトの”子”が来るため 久しぶりのヒトと対面するわけだ。


ル「さて、地上界(あっち)ではどれだけの時間が過ぎてるか・・・だな」


ここ、天界での数分や数時間は地上界での数年、数十年という時を重ねている。

だから、地上界ではどれだけの時間がたっている事やら。


ル「もちろんお前の知らないヒトの子達だ」
イ「・・・」

イーノックは緊張と不安を抱く。

ル「そして頼みたい事があるんだが、その子供達の面倒をしてもらいたいんだ。」
イ「え・・・」


いきなり任され、焦りを見せるイーノック。


ル「頼んでも大丈夫か?」

イ「・・・・・・」

ル「・・・何だ、イーノック。お前らしくないな。いつものお前なら、『大丈夫だ、問題ない。』とかえすだろう。」

イ「だが、いきなりすぎて」

ル「なぁに、心配するな。相手は子供だ、お前の世話がよければ きっと頼りになれる」


ルシフェルは強引に押しつける。

ル「さて、私はそろそろ その子供達を見に行ってくるよ。」


どうやら、その子達は もう来るらしい。

イーノックはまた、書くのを始める。




新しく天界にヒトの子達が来るらしい。
私はその世話を任された。
一体どんな子供達がくるのだろう。
不安もあるが、楽しみもある。
ちゃんと私が世話できるだろうか。

       <イーノックの書>

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