*main(ATLUS)*

□永遠の片想いかもしれない。
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「でねでね、総一君がさあ!」
「えぇ」
自由時間がとれたので、久しぶりに麻希とお話をした。
話せども話せども麻希は総一の話しかしなかった。
正直疲れているんだから、少し話すのをやめてくれたりはしないだろうか。
そりゃ、恋の話は、嫌いではないのだけれど。
「ねえねえ、英理子は好きな人居ないの?」
「いませんわ」
好きな人が、同じ人だなんて、言えないじゃない。
私も総一が好きなのよなんて、言えないわ。
言ったら、きっと止まらない。
「えー、もったいないな、英理子なら大丈夫、絶対OKしてくれるって!」
「Makiはお世辞が上手ね」
「もー、英理子ったら」
麻紀が時計を気にしたのをみて、ただ笑った。
「行ってきたら?Soichiとenjoyしに行くのでしょう?」
「ごめんね、英理子。行ってきます」
戦いのさなかにとれた二人の時間は、きっととても大切なものだ。
ビースダイナーを出ていった麻希の後ろ姿にため息をはいた。
なんだっていうのよ。
彼女の誘いなんて、断ってしまえばよかった!
なんだって、想い人と親友のノロケを聞かされなきゃならない!
私は、あなたとそんな話がしたかったわけじゃない。
「if…」
もしも、私が。
総一でなく私がリーダーなら、きっと私は麻希をパーティから外している。
もっともな理由を意地でも作って、きっと。
「……」
なんか、大人げない。
私は。
「はぁ…」
本当に、大人げない。
…、知らないんだもの。
麻希は…、総一のことを。
私の方が、知っているから、入院していた麻希よりも、氷の城で行動を共にしなかった麻希よりも。
私の、方が知っているもの。
なんてくだらないことだろうか、人の関係に時間なんて関係ないのは自分が一番解っているくせに、自分が一番その時間をきにしている。
「はあ…」
ため息をついて窓を覗いた。
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